ここで【Play Back the OPTION Spin off】としては、元祖GReddy RX(BNR32)を振り返らないワケがありません。簡単ですがご紹介しましょう。
NISMOベースのRXは、トラストの開発車両として1990年代初期から数々のテスト&トライが繰り返されていました。OPTに初めて紹介されたのは、1991年の東京オートサロン出展車事前試乗会。TD05-16Gツインターボの550ps仕様。このとき、ドライバーを務めたDai稲田に「今後、チューンドGT-Rの名車となる1台!」と興奮しながら言わせたほど印象が強かったそうです。
次のOPT誌面登場は、1992年9月号、2段過給システム「STSC」。遠心式メカニカルコンプレッサーとIHI RHC9ビッグシングルタービンとを組み合わせた新過給システムです。
これは、クランクプーリーからの駆動力をCVTというゴムベルトによる無段変速機構を介して遠心式コンプレッサーへ伝え、吸入した空気を圧縮。圧縮された空気はインタークーラーを通過後シリンダー内へ送られ、燃料と混合され爆発、その排気ガスを利用しタービンを回す。タービンで圧縮、インタークーラーを通ったエアを遠心式メカニカルコンプレッサーへと導く…というサイクルになるシステムです。
特徴は、CVTと遠心式メカニカルコンプレッサーは低速域で増速、高速域で減速させることが可能で、全域にわたって安定した過給圧が保てること。さらにふたつのコンプレッサーを直列にレイアウトすることにより、それまでのツインチャージシステムと比較して、過給機同士の干渉が無く、トルクの谷間の無いスムーズな過給が可能となるのです。
このSTSCシステム、クラッチミートは8500rpm、スタートと同時にボディがねじれるように加速し、2速にアップしてもその加速Gは衰え知らず。社内データのゼロヨン記録は10.42秒。身震いするような「これぞチューンド!」の感覚は、最高に気持ちいいのだとか。
が、この画期的なシステムはコスト面などからリリースされることはありませんでしたが、遠心式メカニカルコンプレッサーはMCLとしてシルビアやロードスター用としてリリースされましたね。