【ネオ・クラシックカー・グッドデザイン太鼓判:番外編】新型クラウン登場。いま、歴代クラウンのデザインを振り返る!(12代目)

 

80~90年代の日本車デザインを振り返る本シリーズ。今年6月、15代目のクラウンが登場したのを機に、番外編として歴代クラウンのデザインを振り返ります。

セダンボディとアスリートをはじめとした高い動力性能で、21世紀への橋渡しを問うた先代。その一定の成功を基盤としつつも、一旦半世紀に渡る歴史をリセット、「すべてを原点から発想する」として登場したのが12代目のクラウンです。

プラットホームを一新、「静から躍動への変革」と謳ったボディは、このクラスにしてウェッジを感じる勢いを持つもの。そこに載るキャビンはボディとの一体感に富んで力強く、さらに動きをイメージさせる形状をとります。

「書の勢い」をコンセプトにしたサイドビューは、前後に引かれた幅広いショルダーラインがドア断面の厚さと高い剛性感を生み出します。さらに、これに沿うように引かれた極細のキャラクターラインが、広いサイド面に適度な緊張感を与えます。

スラントした低いフードは実にスポーティ。パネルの強い抑揚に沿ったフロントランプも一見かなりの動きを感じますが、底面を直線にすることで端正さを兼ね備えたフロントフェイスに。また、セルシオ風のリアランプもシンプルで大人の表情を作ります。

インテリアはユニバーサルデザインが意識され、大らかな平面と豊かな広がりの中に整然と機能が配置されます。濃いグレー、ウッドパネル、ベージュと3層構成のインパネは高い質感と先進性を表現。

ここ何代かで迷いが見えたクラウンは、「ゼロ」を標榜することで、大きな動きと端正さを高いカタマリ感のボディへ集約させることに成功。欧州勢のモノマネではない、日本独自の高級車像を打ち出しました。

かつてはゴールだったクラウンを、新たなスタートに位置づけた12代目は、再出発に相応しい高いポテンシャルを持ちました。ただし、そういう革新が継続しないところがトヨタの常でもあるのですが。

●主要諸元 クラウン 3.0ロイヤルサルーンG(6AT)
形式 UA-GRS182
全長4840mm×全幅1780mm×全高1470mm
車両重量 1610kg
ホイールベース 2850mm
エンジン 2994cc V型6気筒DOHC
出力 256ps/6200rpm 32.0kg-m/3600rpm(ネット値)

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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