日産 サニー RZ-1はファミリーカーに加わったスタイリッシュなハイセンスクーペ【ネオ・クラシックカー・グッドデザイン太鼓判「個性車編」第29回】

■際立つ直線基調デザインだった「サニー RZ-1」

80~90年代の日本車のうち、チョット変わった個性派のデザインを振り返る本シリーズ。第29回は、若者のハートに響く、シャープなフォルムの2ドアスペシャリティクーペ、日産サニーRZ-1に太鼓判です。

RZ-1・メイン
トラッドサニーをベースにクーペ化したウエッジボディ

●「流動美」あふれるボディライン

日産は6代目のサニーを計画するにあたって、軽快な3ドアハッチバックに加え、多様化するニーズに応えるべくよりパーソナルな性格の派生車を企画。

1986年、まったく新たな個性を身にまとって登場したのが「サニー RZ-1」です。

低いノーズからリアまで一直線にウエッジさせたボディはセダンより75mm長く、25mm広く、そして50mm低い正攻法なプロポーションで、日産はそのなめらかなボディを「流動美」と表現。ただ、ホイールベースが同じこともあってか、前後オーバーハングの長さが気になるところ。

フロントは、セダンに比べて大きくスラントさせたランプとグリルが特徴。センターを尖らせたその薄いグリルが、ある種の先鋭さを感じさせます。さらに、前に突き出した厚みのあるバンパーが、フロント全体に安定感を生み出しています。

サイドでは、セダンと同様の強いキャラクターラインを一気に前後へ通すことで、ストレートな流れを作り出しています。特徴的なのは、このキャラクターラインに沿って前後のブリスター表現を設けていることで、シャープさとなめらかな抑揚との組み合わせが絶妙に。

RZ-1・リア
独自のブリスターフェンダーとリアの広いガラスが特徴

バンパーラインでの2トーンカラーはボディを薄く見せる効果もあり、スポーティ。その境目には角を丸めた独自の「フィレットモール」が施され、バンパーとの一体感を強めています。キャビンも基本は直線基調で、細目のAピラーと太いCピラーの対比がユニークです。

リアビューでは、広大なラップラウンドウインドウが強い開放感を打ち出します。また、幅広いガーニッシュ一体型のリアランプが、このクルマのキーワードでもあるエレガントさを感じさせます。

●直線回帰は進化か退化か?

インテリアを見ると、インパネ形状は基本的にセダンと同一ですが、2+2クーペとしてラウンドさせたトリムが独自のものに。最新のデジタルメーターの採用は、スペシャリティクーペの面目躍如といったところでしょうか。

RZ-1・インテリア
セダンに準じるインパネはやはり直線基調に

先代を含め、80年代前半までに曲面を取り入れた欧州車的な合理性を見せていた日産ですが、それが販売成績の足かせになっていると判断。かつての「ブルーバード」の成功を取り戻すべく、直線基調のデザインを展開しました。

結果、トラッドサニーと称したセダンはそれなりに売れましたが、一方でより華やかであるべきクーペに、この直線デザインは似つかわしくなかったようです。いえ、デザインの質としてより広く考えれば、この直線回帰は逆行だったと言うべきかもしれません。

●サニー RZ-1 ターボ Type A(5MT)

■主要諸元
形式:E-HB12
全長:4230mm×全幅1665mm×全高1335mm
ホイールベース:2430mm
車両重量:990kg
エンジン:1487cc 直列4気筒SOHC
出力:100ps/5600rpm/16.0kg-m/3600rpm

(文:すぎもと たかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし

すぎもと たかよし 近影
東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、クルマも最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。