HKSに聞きました。VGエンジンはどうチューニングする? OPT300ZX耐久レース参戦記・その3【OPTION 1985年4月号より】

レース仕様に変身途中の我がOPTION 300ZX。ボディ、エンジン、足まわり…やらなくてはいけないこと、いっぱい!! ということで、今回はエンジン関係をプレイバックです。

一任するのはHKS。まずは、出たばかりでチューニングパーツも少ないVG系基本的なチューン考は? そして、肝心のレース用チューニング仕様はどーなりますか?

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OPTION 300ZX 富士耐久レース参戦計画
さて、VGエンジンはどうチューンしますか?

【基本的チューニング考】

■ボアアップはできるのか

チューニングではまず、最も手っ取り早いパワーアップ方法が排気量アップ。3Lより3.1L、3.1Lより3.2Lと、排気量が大きいほうがパワーはもちろん、トルクもアップして低燃費にもつながる。では、このVGエンジンは何mmオーバーサイズのピストンまでがブチ込めるんだろうね。

シリンダーブロックの強度で目安になるのが、シリンダー間の肉厚。左右V字型に3気筒ずつ別れたV型6気筒エンジンは、ノーマルなら十分な剛性を持っている。しかし、冷却方式がフルウォータージャケットタイプなのが問題。ボアピッチ間の肉厚は十分だが、あまり拡大しすぎるとシリンダーにクラックが生じるという恐れがあるのだ。

VG30のボア×ストロークが87mm×83mm、VG20が78mm×69.7mmだが、各エンジンのボア拡大は2mmアップが耐久性の面から行っても無難だ。あるチューニングショップで92mmピストンを製作し、3.3Lまで排気量アップしたが、これはすぐシリンダーにクラックが入り強度的に問題が出たという。ただし、フルウォータージャケットタイプのため、冷却効果はいい。

一方、腰下主要パーツはどうか。ノーマルのピストン、コンロッド、クランクは軽量化され、フリクションを低減させている。これで好レスポンスが実現されているのは確かだ。また、剛性や耐久性アップも図られている。

例えばクランク。V型配置によりクランク長を大幅に短縮でき、メインベアリングを4個で支持の一体型が採用。これにより運動部分の接触面積を縮小し、フリクション低減などはもちろん、ねじれ剛性や曲げ剛性が増大している。メタル幅も狭くなっていて、トラブルの発生を防いでいる。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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