【三菱・エクリプス クロス試乗】スパスパ決まるステアリングが生み出す軽快なハンドリングが気持ちいい

エクリプス クロスは三菱自動車の主力SUVとなっているアウトランダーをベースに作られたモデルです。ホイールベースはアウトランダーと同一寸法ですが、全長は290mmも短くされています。全幅は5mmとわずかですがエクリプスクロスが広くなっています。

見た目はかなり若々しいデザインとなっています。開発陣はとにかくかっこいいクルマを作りたかったと言っています。全長、全幅についても室内のパッケージングなどから決まったのではなく、デザイナーの思いをそのまま形にしているということです。

搭載されるエンジンは1.5リットルのターボで、最高出力は150馬力、最大トルクは240Nmとなります。アウトランダーは2リットルか2.4リットルの自然吸気、もしくは2リットル自然吸気+モーターです。

アウトランダーが比較的おとなしいエンジン特性なのに対して、エクリプスクロスは自然吸気のように軽快に吹け上がりつつも2000回転付近にトルクが盛り上がるポイントを作るなど、メリハリのあるエンジン特性となっています。

走らせてみると何よりもそのハンドリングの軽快さに感動します。まずステアリング切り始めに対する反応のよさがいいのです。ステアリングを切った瞬間からススッとノーズがインを向き、それに合わせてリヤタイヤもしっかりとコーナリングフォースを発生し、グイグイ曲がっていきます。

試乗車は4WDでS-AWCが装着されているので、フロントタイヤの切れ角だけではなく、4つのタイヤの持つ力を積極的に使ったコーナリングが可能となり、そのフィーリング・限界は飛躍的に向上します。

かつてハンドリングをシャープに、スポーティにするためには足まわりを固めるのが一般的でしたが、前後のトルク配分やブレーキLSD効果などを上手に使うことで、乗り心地を確保したままスポーティなハンドリングを得られる現代は、素晴らしい時代だと言ってもいいでしょう。

エクリプスクロスは全長は短くしながらも、リヤシートのスペースや乗り心地もしっかりと確保。ラゲッジルームのバリエーションも充実しています。4WDモデルでもベーシックグレードならアンダー300万円というプライスもうれしい一台です。

(文・写真:諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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