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■ピストンキットなども少ない
これは現段階では少ない。しいて挙げれば、東名自動車から登場しているVG30ET用ピストンキット。ボアは90mmで総排気量は3.2L、1.2mmガスケットと組み合わせれば圧縮比は7.8になる設定。鍛造品でレースでのノウハウがある東名自動車だけに耐久性はバツグン。
HKSでもVG30系、VG20系も含めて開発中という。以前のL型だったら互換性があるため、パーツの製作は容易だったが、VG系はこの互換性がないため、各メーカーから登場しない原因ともいえる。
クランク、コンロッドもVG系のパーツはない。そのため高出力に耐えるにはノーマルを加工するしかない。クロームモリブデン鋼やアルミ鍛造などの材質で作り出せば最高だが、時間や金銭的にも問題が出てしまう。ノーマルをタフトライド処理などして、剛性を高める方法が一般的。金額も安価で済むわけだ。また表面研磨などの処理も行い、応力集中を避けよう。
そして最後はバランス。これはピストンも含めてだ。ピストンなら6個のスタティックバランスを取り、各バランス誤差はゼロに近いことが望ましい。
クランクのバランス取りが難しく、特にVG系は大変だ。が、これもスタティックバランスとダイナミックバランスと同時に取ってやらないと意味がない。
■シリンダー関係のチューンはできるか
シリンダーヘッドはクロスフロータイプで、吸排気バルブを50度V型に配置されている。このため、スワールスキッシュ効果を高めて燃焼効率を向上。また燃焼室はペントルーフ型になっていて、点火プラグがボアセンター寄りに配置されている。
ノーマルでも素質がいいヘッドだけに、ヘッド自体の加工はポート研磨くらいでいい。ただし、各燃焼室容積合わせは加工してもいいだろう。
ヘッド系のチューニングパーツも現在、市販段階には至っていない。カムを例にとってみても、ラッシュアジャスターが使用されて、高回転型のカムを組み込んでも高回転で対応できないのだ。このためOPT-Zはシム調整式に換えてHKSの試作品コンピューターカム272度のハイカムを使用した。