スバル新型「WRX S4」試乗 ─ 最大ブースト158kPa、大人のスポーツセダン

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STI、S4ともにKYB製ダンパーと、ビルシュタイン製ダンパーのグレードが用意されていますが、単純に前者がコスト重視で、後者はパフォーマンス重視とはいえません。

STIでは、KYB製ダンパーであっても、ビルシュタイン同様に、フロント倒立式となっていて、横剛性を高めた仕様になっているほどです。

S4では2.0GT EyeSightに使われるKYBは正立式で、2.0GT-S EyeSightのビルシュタインは倒立式となるなど違いは明確になっていますが、ストリートでの印象は、必ずしもビルシュタインが優勢とはいえないものでした。ちょっと舗装の荒れた路面ではビルシュタインの足は微妙な硬さを連続して感じさせるシーンもあったのです(実際にはビルシュタインダンパーを使うS4のほうがリアに柔らかいスプリングを使っているのです!)。

その意味で、『ターボエンジンの国産ハイパワーセダン』というテイストには、KYB製ダンパーを標準装備する2.0GT EyeSightグレードのほうがキャラクターとしてはマッチしているのかもしれません。 

もちろん、かつての直線番長的なターボセダンのように、フットワークがフニャフニャでリヤを沈み込ませて加速するという意味ではありません。街乗りでの快適性を優先した300馬力級サルーンとして、新しいキャラクターがWRXに生まれたという点で、マークIIツインターボやローレル、セフィーロのターボグレードを思い出すというわけです。

一方、ビルシュタイン製ダンパーを備える2.0GT-S EyeSightを、スバルを乗り継いできたスバリスト的に表現すれば、BLレガシィ(4代目セダンB4)のテイストを洗練させたといえそう。

新しい『S4』というネーミングは、インプレッサG4よりもハイパフォーマンスで、レガシィB4よりスマートでスポーティな4ドアセダンというキャラクターを見事に言い表した車名といえそうです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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