CVTだけのラインナップということで失望するかもしれませんが、CVTであるからといってラバーバンド・フィールと評するのは、もはや先入観といえる時代です。
そもそも、CVTを使ったパワートレインは高回転まで回して楽しむためのものではなく、エンジンの効率的な領域をキープするという協調制御によりトータルでパフォーマンスを追求するもの。
WRX S4を走らせるときには、アクセルペダルがエンジンに意思を伝えるためのデバイスではなく、パワートレイン全体をコントロールするための入力装置という印象が強いものです。
たしかにパドルシフトも装備されていますし、またパワートレインのキャラクターを切り替えるSI-DriveをS#モードにするとレシオカバレッジを狭くした8速ステップ変速モードにもなりますが、このスポーツセダンで味わうべきは、まさしくシームレスな加速と思えます。
そこには、過激な味付けはありませんが、アクセルを踏み込み、高ブーストをキープしたままの加速感は300馬力級セダンとして期待以上ともいえますし、CVTというシームレスなトランスミッションを使っているからこそのメリットともいえそうです。
ただし、このスポーツリニアトロニックは、MTと比べて単体重量で50kg以上も重く、その重量差はほぼ前軸にかかっているという点は、気になります。