スバル新型「WRX S4」試乗 ─ 最大ブースト158kPa、大人のスポーツセダン

SportLineartronic

CVTだけのラインナップということで失望するかもしれませんが、CVTであるからといってラバーバンド・フィールと評するのは、もはや先入観といえる時代です。

そもそも、CVTを使ったパワートレインは高回転まで回して楽しむためのものではなく、エンジンの効率的な領域をキープするという協調制御によりトータルでパフォーマンスを追求するもの。

WRX S4を走らせるときには、アクセルペダルがエンジンに意思を伝えるためのデバイスではなく、パワートレイン全体をコントロールするための入力装置という印象が強いものです。

たしかにパドルシフトも装備されていますし、またパワートレインのキャラクターを切り替えるSI-DriveをS#モードにするとレシオカバレッジを狭くした8速ステップ変速モードにもなりますが、このスポーツセダンで味わうべきは、まさしくシームレスな加速と思えます。

そこには、過激な味付けはありませんが、アクセルを踏み込み、高ブーストをキープしたままの加速感は300馬力級セダンとして期待以上ともいえますし、CVTというシームレスなトランスミッションを使っているからこそのメリットともいえそうです。

ただし、このスポーツリニアトロニックは、MTと比べて単体重量で50kg以上も重く、その重量差はほぼ前軸にかかっているという点は、気になります。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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