スバル新型「WRX S4」試乗 ─ 最大ブースト158kPa、大人のスポーツセダン

 

wrx_s4_IMG_2999

低速域では先入観も含めてフロントヘビーを感じることはあっても、高速になるほどロングホイールベースの影響なのか、それともシャシーのセッティングのおかげなのか、オーバーハングにエンジンという重量物を積んでいる感覚はなくなってくるのは、STI、S4ともに共通のフィールといえそう。

そうした高速での安定感はタイヤグリップに頼ったものではなく、WRXに共通のサスペンション・ジオメトリーによるものなのでしょう。

この写真は、クローズドコースにおいて、ステアリングをフルロックまで切り込んだ状態でアクセルを踏み込むという風にして、姿勢コントロールの電子制御を働かせた直後に撮影したものですが、トレッド面を斜めに使った様子が見えるのと同時に、ショルダー部分までしっかりと使いつつ、サイド面をタッチさせていない様子も確認できます。

タイヤを”キチン”と使うシャシーを実現していることがうかがえるのです。

ハンドリングをカバーする電子制御では、ブレーキの独立制御を利用した「アクティブトルクベクタリング」の採用がニュース。もちろん、横滑り防止装置となるVDCは標準装備されています。

アクティブトルクベクタリングのおかげで、スラローム走行のようなシーンでは想像以上に軽快。しかも、この電子制御は違和感を感じることは少ないのです。

無茶をしすぎると、カクッといった曲がり方を見せることもありますが、おそらくアクティブトルクベクタリングの挙動ではなく、VDCの介入なのでしょう。電子制御は基本的に走りの純度を下げることはないけれど、頼ろうとするとドライバーをたしなめるといったマナーに仕上げられた「大人のスポーツセダン」というわけです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる