伝統の走りとスタイルを引き継いだイタリアン・スポーツセダン「アルファ・ロメオ155」【ネオ・クラシックカー・グッドデザイン太鼓判:輸入車編】

●シンプルな直線基調ながらボディのどこかに引っかかりを感じさせる味付け

80~90年代輸入車のグッドデザインを振り返る本シリーズ。第4回は、FFベースながら高速4WDを用意する、ハイパフォーマンス・イタリアンスポーティセダンに太鼓判です。

産業復興公社の財政改革により、その管理下にあったアルファ・ロメオの経営を引き継いだフィアットは、ランチアを含む3ブランドとの一括開発であるティーポ計画を推進。1992年、シリーズとして5番目に投入されたのが155です。

アルファ155フロント
近代アルファのハイテールを継承するウェッジボディ

33や75など、近代アルファの様式であるハイテールを引き継ぐボディは明快なウェッジシェイプ。大きく異なるのがFF化で、これにより居住性に優れるキャビンがクサビ形のボディに載る、新世代のプロポーションを提示します。

女性的な164に対し、緊張感を持つ男性的なイメージを意図したボディは、フロントランプからリアランプまで一直線に引かれた深めのキャラクターラインと、ボンネットフードから始まるベルトラインの流れがメリハリのあるサイドボディを表現しています。

アルファ155リア
立体的なリアパネルが155の性格をストレートに主張

意外にも比較的柔らかな曲面を持つキャビンや、面に幅を持たせたプレスドアがボディに一体感を与える一方、前後パンパー間にサイドモールを装着しなかったことで平易な安定感を追わず、どこか75のアンバランス感を想起させる仕掛けが出色です。

薄くシャープなフロントグリルに対し、ハイテールのリアは2段構成の凝ったランプとサイドから回り込む強いラインが、リアパネルを立体的に仕立て、155の性格を主張します。

インテリアは、ドライバーに向けてナナメに成型されたセンターパネルや大胆に分割されたダッシュボードトレイが、エクステリアに準じるアンバランス感を放つ一方、丸く優しい形状のメーターナセルとの組み合わせが絶妙です。

アルファ155インテリア
どこか意図的にバランスを崩したかのようなインパネが印象的

スタイリングは、ティーポ2/3計画の他車に準じ、外部スタジオのI・DE・Aが担当。フィアット・ティーポやランチア・デドラなどと同様、シンプルな直線基調ながらボディのどこかに引っかかりを感じさせる味付けが「らしさ」と言えます。

開発当時は、ワルター・デ・シルヴァがアルファのデザインヘッドに就いて間もなくの頃。そこで155のスタイリイグは順調に進められたとされますが、その出来映えは、後に多くの秀作を送り出すことを十二分に予感させるものでした。

●主要諸元 アルファ・ロメオ155 ツインスパーク(5MT)
全長4445mm×全幅1695mm×全高1440mm
車両重量 1280kg
ホイールベース 2540mm
エンジン 1995cc 直列4気筒DOHC
出力 140ps/6000rpm 19.3kg-m/5000rpm

(すぎもと たかよし)

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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