80〜90年代の日本車デザインを振り返る本シリーズ。今年6月、あらたにカローラ スポーツが登場したのを機に、番外編として歴代カローラのデザインを振り返ります。
マイカーが一般家庭に浸透しつつあった70年代後半、サニーやファミリアなど、ライバルはこぞって80年代のデザインを模索。そこに、いち早く的確な回答を提示したのが、1979年発表の4代目カローラです。
長く付き合える「いい友」をテーマに、クルマの原点であるセダンを中心にスタイリングを開発。ムダを廃し、流行に左右されない「合理のバランス」として、近代建築を思わせる直線基調のボディを生み出しました。
低いフードとベルトラインは、新時代を示唆するウエッジシェイプボディ。クサビ型の大きなキャビンとの組み合わせはあたかもFF車のようで、80年代のスタイルを完全に先取りします。
上級車譲りの丸形4灯ランプは薄いグリルにマッチし、大型ウレタンバンパーとの組み合わせが先進感を醸成。これはリアも同様で、シンプルな長方形のランプが70年代との決別を表現します。
面一化された幾何学調のホイールデザインもまた、新しい時代への予兆。唯一、比較的高い位置に置かれた細いサイドモールにクラシックなイメージを残します。
インテリアもボディに準じた直線基調に。機能重視のレイアウトは実に整然としたもので、3色のカラーコーディネイトを含めたクオリティは国際レベルを追求したといいます。
クーペやハードトップなどの幅広いバリエーションを含め、優れた機能的デザインはイタリアの工房の関与がウワサされたほど。シンプルな直線や平面で構成されながら高い質感を保ったのは、3代目までの純粋な熱意が継承したためと言えるかもしれません。
●主要諸元 カローラ4ドア GT 1600DOHC-EFI(5MT)
形式 E-TE71-EEMQF
全長4225mm×全幅1610mm×全高1385mm
車両重量 955kg
ホイールベース 2400mm
エンジン 1588cc 直列4気筒DOHC
出力 115ps/6000rpm 15.0kg-m/4800rpm
(すぎもと たかよし)