雪道=スバル「フォレスター」! 清水和夫が圧雪路の北海道でその本領を見た!

■雪を得たフォレスター! まさにココがSUBARUの一丁目一番地

●ラッセル車みたいに突き進むスバルのシンメトリカルAWD+X-MODE

清水和夫×SUBARU フォレスター
清水和夫×SUBARU フォレスター

今回、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが試乗したSUBARU フォレスターは、2023年8月に一部改良を受け登場したモデル。グレードはTouring(価格:3,069,000円[税込]以下同)、X-BREAK(3,300,000円)、Advance(3,399,000円)、SPORT(3,465,000円)、STI Sport(3,740,000円)、X-EDITION(3,377,000円)、そしてXT-EDITION(3,465,000円)。

今季の雪は少ない?というけれど、北海道のココはスゴイ!
今季の雪は少ない?というけれど、北海道のココはスゴイ!

この中でも清水さんのおススメは、ベースのTouring(ツーリング)みたい。というより、ベースグレードでも十分な走りを魅せるのが、フォレスターだというのです。

雪道ドライブのポイントを抑えつつ、その意味を聞いてみましょう。

●スバルのAWDは元々性能バツグンだから!

ここは牧場に行く私有地。トラコン(トラクションコントロールシステム)を切ってCVTをMモードで2速に固定して走っています。

おぉ~♪

雪深い北海道を清水和夫がフォレスターを相棒に行く!
雪深い北海道を清水和夫がフォレスターを相棒に行く!

雪って一口に言っても、楽しいんだけど、やっぱりリスクもありますよね。そういうことが長年分かってる自動車メーカーが作る4駆っていうのは、本当に走りやすいなっていうのを今回、北海道でスバルのAWDに乗ってみて改めて感じました。

今はFRのBRZとか、スーパーGTレースをやったりしていますけども、スバルは4駆です!

X-MODEはノーマル+2モード、ヒルディセントコントロール付
X-MODEはノーマル+2モード、ヒルディセントコントロール付

この4駆は雪道で本当に走りやすいなと思うんです。今回乗るフォレスターには、X-MODE(エックスモード)という、電子制御で前後のトルク配分を変えられるモードがあるんですけど、絶対的な駆動力を必要とする時は50:50にして、一般道を走る時(ノーマル)と普通の雪道(スノー・ダート)、深い雪(ディープスノー・ダート)と、3つの走行モードを切り替えることができるんです。

元々スバルは、ベースの4駆性能が良いから、そんなに電子制御で前後のトルク配分を変えたからといって、ブッチ切りに走りやすくなる…とかっていうことはないと思っています。今回の北海道はドカ雪ですから、いろんなシーンで雪の体験ができると思うので、その辺をテストしてみたいと思います。

水平対向エンジンだからこそ得られる、バランスの良いシンメトリカルAWDなんだよ!
水平対向エンジンだからこそ得られる、バランスの良いシンメトリカルAWDなんだよ!

安全性っていう部分では、スバルの持つシンメトリカルAWD、これは水平対向エンジンによって支えられてるってことも、あえて付け加えておきたいなと思います(左右対称で重量バランスが良い)。だから、都市伝説ではない、リアルなスバルの4駆の乗りやすさ、そんな旅に今回なりそうな気がします。

●雪深い士別でスノードライブ

すげ~雪だな! これだけ降るって珍しいね。

すげ~雪! スバルの本領発揮だ
すげ~雪! スバルの本領発揮だ

今は士別の郊外にいます。この4駆システムのXモード、ボタンを押すとノーマルで、右に回すとディープスノー・マット。これが1番トラクションの必要なところかな。ダイヤルを左に回すと通常のスノー・ダート。まずノーマルから行ってみますか。

周りが白いから道幅が分からないので、上の方に赤い矢印があるので、ここが道幅。時に雪がいっぱい降っている時は、この道幅も狭くなって両サイドでは雪の壁になるので、気をつけた方がいいね。

清水和夫×SUBARUフォレスター
清水和夫×SUBARUフォレスター

こういうところはブレーキがポイントで、どこか(安全なところ)でフルブレーキングして、路面のグリップの感じを掴んでおくといいですね。雪道は滑りやすさが千差万別。グリップの高いところは0.3ぐらいの摩擦係数がありますけど、ミラーバーンと言われるツルツルバーンは0.15とか。だから、圧雪とツルツルバーンでは制度距離が2倍違います。

国道からこの雪の多いところに来ると、グリップが上がりました。

X-MODEを上手く使って雪道を走ろう
X-MODEを上手く使って雪道を走ろう

雪道とかアイスバーンでタイヤが滑るのは、実は水があるから。外気温が0度近辺のアイスバーンが一番滑るって言われています。今日は外気温マイナス8度、ここまで下がると、意外とアイスバーンでもグリップする。これが0度近辺のアイスバーンになると、オンザロックみたいに氷の上に水が乗るので、そうすると本当にツルツルしたアイスバーンになります。

私、もう30年以上前から、この辺りでスタッドレスのタイヤテストをやってきているので、私のドライバー人生の中でニュルブルクリンクと雪っていうのが、ほとんど支配しています。雪道のドライビングとニュルブルクリンクのドライビングで、今の自分のドライビングの基礎を作ったんですね~。

●X-MODE徹底比較!

コイツはラッセル車か!!
コイツはラッセル車か!!

雪の吹き溜まりのところのテストをしています。当然、絶対的なトラクションが一番大きいディープスノーっていうのが、エンジントルクがタイヤに一番伝わるバージョン。私なんかはむしろ、ノーマルモードで上手くアクセルコントロールした方が運転しやすいな。ただ、ひとたびノーマルモードだとスタックする可能性もある。アクセルワークに自信のある人はノーマルモード。まぁスバルはもうこんなXモードの電子制御やらなくても、元々の4駆性能が強いから。

今、ノーマルモードです。アクセルで、タイヤをあんまり引っかかないようにしていけば、スムーズに脱出できます。

こんなところ…イケるのか!?
こんなところ…イケるのか!?

今度はディープスノーでやると、絶対的なトルクは大きい。だから、一般の人はスタックしやすいようなところは、ディープスノーの方が失敗しないで済むね。ディープスノーはアクセルを全開にしても、そんなに挙動変化っていうのはないんだけど、ノーマルモードはアクセルコントロールを上手くやらないとダメ。そんな感じ。

いずれにしても、ベースの4駆システムがいいから、あんまりこのXモードにとらわれないで、雪の場合は普通のスノー・ダートモードでいいと思います。

ディープスノーモードだと、このぐらいの新雪をラッセルしながら行っちゃう!

●フォレスターはベースモデルでも十分!

フォレスターはベースグレードのTouringでも十分な性能を持っているよ
フォレスターはベースグレードのTouringでも十分な性能を持っているよ

フォレスターの値段表見たら、1番のベースモデルが280万円(Touring/税抜き価格)。なんと300万円切っているんですよ。

じゃあ、ほとんど機能が省き取られてるか?って言うと、Xモードとかそういったものは付いてる。だから、Touringで十分だなって感じです。

この大きさでこのボリューム、それで4駆でこれだけ走りやすい車で、SUVで、280万円切るベースモデルがあるっていうのは、スバル、すごい頑張ったな!と思います。もし自分が買うんだったら、これ(Touring)でいいかなって正直、思いました。


フォレスターは、完全装備の上級グレードじゃなくても、一番のベースモデルであるTouringでもSUBARU AWDの良さが十分に堪能できるという清水さん。ここまで積もった雪道でのドライブでは、やっぱスバル車は外せないパフォーマンスを持っているってことですね。

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

フォレスターの主なスペック
フォレスターの主なスペック

【SPECIFICATIONS 】
・SUBARU FORESTER STI Sport
全長×全幅×全高:4640×1815×1715mm
ホイールベース:2670mm
トレッド(前/後):1565/1570mm
車両重量:1570kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.4m
エンジン種類;水平対向4気筒DOHC
内径×行程:80.6×88.0mm
総排気量:1795cc
エンジン最高出力:130kW(177ps)/5200-5600rp
エンジン最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1600-3600rpm
燃料タンク容量:63L(無鉛レギュラー)
ミッション:CVT
燃料消費率(WLTCモード):13.6km/L
サスペンション(前/後):ストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後共): 225/55R18(オールシーズンタイヤ)
車両本体価格(税込):3,740,000円

・SUBARU FORESTER Touring
全長×全幅×全高:4640×1815×1715mm
ホイールベース:2670mm
トレッド(前/後):1565/1570mm
車両重量:1570kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.4m
エンジン種類;水平対向4気筒DOHC
内径×行程:80.6×88.0mm
総排気量:1795cc
エンジン最高出力:130kW(177ps)/5200-5600rpm
エンジン最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1600-3600rpm
燃料タンク容量:63L(無鉛レギュラー)
ミッション:CVT
燃料消費率(WLTCモード):13.6km/L
サスペンション(前/後):ストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後共): 225/55R18(サマータイヤ)
車両本体価格(税込):3,069,000円

【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

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この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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