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■え? あのブレーキもこのブレーキもakebono製だって!?
●日本の技術、ここにあり!
曙ブレーキ工業(株)は1929年(昭和4年)創業の老舗の主要ブレーキ部品サプライヤーです。「akebono」とローマ字で書いたほうが馴染深いかもしれませんね。
4輪自動車をはじめ、2輪のバイクや自転車、鉄道、フォークリフトなどの産業機械、風力発電、エレベーター…動くものを止めるには必ずブレーキが必要です(ちょっと強引!?)。
その曙ブレーキの博物館「Ai-Museum(エーアイ ミュージアム)」があるのは、埼玉県羽生市(現在はコロナ禍により休館となっているそうですが、時機復活できるでしょう)。
そこに訪れたのは、「デカいブレーキが付いていると安心する」という、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんです。
ちなみに「Ai」とは、「Akebono」「innovation」、曙ブレーキの改革を意味し、またIT(情報技術)の頭文字も含み、 ITを最大限に活用し、仕事の進め方を抜本的に改革する場にしよう、という誓いを込めて命名されたそうです。
さて、なぜ清水さんはAi-ミュージアムを訪れたのでしょうか? それは「頼もしい日本発のブレーキ」が、日本国内はもちろん、欧米、アジアなど世界中に日本の技術を提供している、その技術を社会科見学しに、です。
「社長とは旧知の仲」「網走で一緒に毛ガニを食べた仲」とのことで、バリトン歌手!?のような声がステキな代表取締役社長 CEO・宮地康弘さんもご登場です。
清水さんはどんな技術を勉強したのでしょうか? それは動画を見てね~♪ ですが、さわりをちょっとだけ紹介しますね。
●ブレーキは自動車安全技術の最先端、そして最後の砦
清水:宮地さんもスタートユアエンジン動画を見てくれているんですよね! なんかヘンなこと言ってませんか?w
曙ブレーキはモータースポーツにも積極的ですね。
宮地:ポルシェのようなモノブロックキャリパーを作ろう!と、モータースポーツ参戦へ立ち上がりました。
清水:マクラーレンとF1用も開発するなど、ハイエンドなブレーキメーカーだと思っていたけど、軽自動車をはじめとした乗用車から、新幹線用もやっているんですね。
クルマ好きが最初に見るのは足元。タイヤ・ホイール・キャリパー! あと、ローターに穴が開いているかどうかw。
宮地:10ポッドキャリパーはフォルクスワーゲン・グループのハイパフォーマンス、ポルシェやベントレー、ランボルギーニなど、SUV系など重たい系が得意。モータースポーツではWECで優勝したトヨタのマシンにも使われています。
清水:世界の最先端のモータースポーツで、akebono製が活躍していますね。
宮地:これからは排気ガスの問題、タイヤのパウダー、ブレーキダストの問題…。よりダストの出ないパッドが要求されています。
●akebonoブレーキでF1を目指せ!
ブレーキに関した基本的なことを展示してあるスペースは、執行役員 開発部門長 西村誠司さんに案内いただきました。
清水:富士スピードウェイのストレートエンドでブレーキ効かないと、死ぬほど怖い!
西村:摩擦材は20種類以上、配合は企業秘密です!
清水:コレ、新幹線用ですか! デカいですね~。風力発電の風車用も…ちょっと驚き!
西村:モータースポーツへの軌跡は、まずは2002年にダウンヒルの自転車競技からスタートしました。自転車の指の細かいブレーキコントロールを勉強するためです。
2003年にMTB JCFダウンヒルジャパンのシリーズチャンプを獲り、翌2004年は次のステップとして全日本ロードレース選手権JSB1000クラスへブレーキを供給し、2005年にクラスチャンピオン。
2006年ニュルブルクリンク24時間耐久レースにポルシェのプライベートチームに供給し、総合2位。
2007年F1ボーダフォン マクラーレン メルセデスに供給、2008年ワールドチャンピオン。
2009年にポルシェ パナメーラ(北米向け)用のパッドを供給開始しました。
清水:ここで初めてポルシェ社へ純正納品したんですね。
西村:2010年、WECでTOYOTA Team GAZOO Racingへ供給開始、2014年にダブルタイトルを獲得。
2012年からマクラーレン12C GT3へ供給開始。
2013年WECのTOYOTA Motor GmbHへ供給開始。鈴鹿8時間耐久ロードレースで優勝、マクラーレン P1用を供給開始。その後10ポッドの開発を開始…。という流れですね。
清水:ポルシェ、マクラーレンF1、ル・マン、WEC、WRC…世界のモータースポーツのトップカテゴリーをakebono旋風で支配した感じ。
●ブレーキって安心感というか、デカいのが付いているとカッコイイ!
Akemoboのモータースポーツの世界が分かるスペースは、モータースポーツ担当の開発部門AAE チーフエンジニア・野際純一さんと社会科見学です。
野際:F1を目指してモータースポーツを始めたakebonoは、参戦2戦目でアジアのブレーキメーカーでは初めてF1で優勝しました。
清水:F1にはホンダのエンジンとか自動車メーカーだけではなく、日本のサプライヤーもかなり入っていましたよね。
タイヤはブリヂストン(1960年代日本グランプリにチャレンジ/1976年日本初のF1GP参戦、マシンは星野一義のティレル007フォード/1997年から本格参戦/1999年~2000年、2007年~2010年はワンメイク)だったし、ブレーキはakebono、ダンパーはショーワ。一時期、コマツがトランスミッションを開発していた時期もあったしね。
野際:F1は1000度以上にもなるローター温度対策、そして軽量化を常に追求します。WRCでは路面からのG、振動に対しての対策、悪路の中でいかに安定させるか?が重要です。
●300km/h出るクルマを安心して止めるというのは、言うは易く行うは難し!
清水:大きなキャリパーが付いているというだけで、ビジュアルで安心感があるし、お相撲さんがドーンと高速道路にいる感じ。
我々はブレーキからまずスポーツカーを見ていきたいですね。私はドライビングスクールでも「ブレーキ踏めないヤツはアクセル踏むな!」と教えています。
F1、WEC、WRC…。そのストッピングパワーを日本のakebono製が支えていると思うと、誇らしいですよね。ブレーキ好きな方は、ぜひAi-ミュージアムへ! そして動画のすべてはコチラ↓!!
(解説:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの)
【関連リンク】
StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX
頑固一徹学校 プレイリスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PL_lxyb4LRfT_DFVEQdJjVgRYAlwDuUN61
Ai-Museum(ブレーキ博物館)
https://www.akebono-brake.com/product_technology/ai_museum/
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