清水和夫がレクサスのBEV「RZ 450e」プロトタイプに乗って思った。「BEVの競争領域は乗り心地とシャシー性能」

■bZ4Xやソルテラと同じe-TNGAでも、レクサスらしさ、こだわりを見せるRZ 450e

●クルマにもドライバーにも厳しいトヨタテクニカルセンター下山のコースは…変態!?

LEXUS RZ450e Prototype
トヨタ下山テストコースで清水和夫さんがLEXUS RZ450e Prototypeを試乗

レクサスブランド待望のバッテリーEV「LEXUS RZ 450e」が、プレミアムSUVとしていよいよ登場します。

まだプロトタイプですが、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんがトヨタテクニカルセンター下山で試乗しました

LEXUS RZ450e Prototype
LEXUS RZ450e Prototypeを試乗するのは、清水和夫さん

トヨタテクニカルセンター下山は、愛知県にあるトヨタのテストコース。ニュルブルクリンク風あり、オールージュ風ありの過酷なレイアウトを有しています。

そんな下山コースに関して清水さんは「このコースを作ったのはちょっと、言葉は悪いけど、かなりオタク? ここまでクルマをいじめて鍛えさせるのか!?みたいな厳しいところです。ドライバーにも厳しいので、相当なスキルと評価能力、両方を持っていないとダメ」(清水)と、変態的コースを楽しんでいるようですw。

LEXUS RZ450e Prototype
LEXUS RZ450e Prototype

レクサスRZ 450eの技術的なハイライトは、ドライバーの意図に忠実な走りを支える新四輪駆動力システム「DIRECT4」や、「ステアバイワイヤシステム」、BEV専用プラットフォーム「e-TNGA」の採用といったところ。

ではさっそく、レクサスRZ 450eの評価はどうでしょう? ここではサワリだけお届け、すべては動画で!

●容量がデカきゃイイわけじゃないモーター

LEXUS RZ450e Prototype
LEXUS RZ450e Prototypeのリヤビュー

プラットフォームはすでに発表済みのe-TNGA。トヨタのbZ4X、スバルのソルテラと同じなんですが、そうはいってもレクサスのこだわりを随所に見せています。

LEXUS RZ450e Prototype
このカメラ位置だと、LEXUS RZ450e Prototypeのコクピットがちょっと分かります

気になるのは、まずバッテリーは床下で74kWhくらいの容量を持っているということ。そしてこれは前後モーターモーターの4駆。なんと、フロントが150kWでリヤが80kW。最強のバッテリーEVですね。リヤも150kWにすれば300kWになっちゃうんだけど、まぁあんまり高出力のモーターを使うと当然、電気の消費量も大きいので、このくらいがいいところかも。

●数あるBEVの評価ドコロは、乗り心地やシャシー性能

LEXUS RZ450e Prototype
清水さん、LEXUS RZ450e Prototypeの評価ポイントは?

最近、BEV月間みたいな感じで2020年春からいろんなEVに乗っていますけど、やっぱり競争領域は乗り心地とかシャシー性能じゃないかなと。

このバッテリーインバーター、モーターのコンビネーションというのは、どこも同じようなドライブフィールになるので、どれだけ気持ち良く走らせるか?がポイントになる。

エンジンが無いから振動も無いんだけど、ただ、タイヤが大きく車重も重いので、どうしてもバネレートが高く、固くなる。そうなったときに、バネ下の振動とかハーシュネスとか、そのへんがけっこう、普通のコンベンションのエンジン車よりもちょっと厳しいかなってところは感じられます。だから、乗り心地勝負。

LEXUS RZ450e Prototype
LEXUS RZ450e Prototype

あとは、ハンドリングね。まず、低重心。RZ 450eはちょっとクロスオーバーSUV的な車高だけど、重心点は低いです。レクサスのISくらいの重心点じゃないかと思うんだけど。

そうすると、ドライビングのアイポイントは高いんだけど、ハンドルを切った瞬間に路面に吸い付くような感覚。

低重心でありながら前後に重たいものはないし、オーバーハングが無いから、ステアリングを切ったときのノーズの動き=ヨー慣性モーメントが少ない。

LEXUS RZ450e Prototype
LEXUS RZ450e Prototypeは、バイワイヤステアになるとステアリングがF1みたいな、レーシングカーみたいなものになる

よく“重量配分”とかって言いますけど、あれは静的な重量配分のハナシであって、実際は、動的な慣性モーメントの話。

ゴルフクラブのグリップ部分を持って振るのと、ヘッドを持って振るのじゃ、全然重さ感が違いますよね。だから、回転の中心と重量との距離が長いほど慣性モーメントは大きくなるんだけど。ホイールベースが伸びた分、距離は長くゴルフクラブでいうと長尺みたいな感じ。

でも、エンジンが無いから、フロントの前輪のタイヤまわりの重量が少ない分、慣性モーメントは小さいですよね。だから、より良く動くし、止めることも止まりやすい。動的な重量配分みたいな慣性モーメントというのが、エンジンの無いクルマのひとつの美点。

LEXUS RZ450e Prototype
LEXUS RZ450e Prototypeのリヤシートからもインプレッション!

だけど、音がしないから逆にタイヤからのロードノイズが入ってきやすい。バネレートが高いのでどうしてもサスペンションが固くなりやすいとか。タイヤも外径のデカいのを使いたがるので、バネ下の振動が気になりますよね。

バネ上振動というのはけっこう電子制御のダンパーで抑えられるんですけど、バネ下振動というのはフィジカルな振動で出てきちゃうので、このへんがシャシーで上手く抑えられるかどうかというのはBEV評価のポイントね。


めずらしく、リヤシートに座ってのインプレッションも聞ける清水和夫さんによるレクサスRZ 450eプロトタイプ試乗のすべては動画で!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/文:永光 やすの

LEXUS RZ450e Prototype
LEXUS RZ450e Prototypeの主なスペック

【SPECIFICATIONS】
車名:LEXUS RZ450e Prototype
全長×全幅×全高:4805mm×1895mm×1635mm
ホイールベース:2850mm
フロントモーター出力:150kW
リアモーター出力:80kW
航続距離:約450km

【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

LEXUS
https://lexus.jp/

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この記事の著者

清水和夫

清水和夫 近影
1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。