マツダ「CO-Pilot1.0」は、他メーカーと異なるスタンスで自動運転技術による安心なクルマ作りに大賛成!ハンズオフ反対派が解説【清水和夫 特別寄稿】

■マツダの安全技術「CO-Pilot1.0」とは? 超高度な自動運転レベル2。だけど、自動運転ではない!

●自動運転のイメージは、二人羽織で食べる蕎麦

マツダの安全技術「CO-Pilot1.0」
マツダの安全技術「CO-Pilot1.0」開発車両

マツダから「CO-Pilot1.0」と呼ばれる新しい安全技術が発表された。この技術が搭載されるのは、2022年の新型車からだが、どんな技術なのか解説してみよう。

CO-Pilotとは、航空機の副操縦士を指すが、自動車の場合はどんな機能なのだろうか。

ドライバーの緊急事態
ドライバーが一人で運転中、体調が悪くなったときにどうするのだろうか…

あなたが一人で自動車のハンドルを握っていて、もし体調が悪くなったときにどうするだろうか…。航空機なら副操縦士が操縦するから、大きな事故にはならない。マツダは自動運転に資する技術を、単に自動でAIが走るクルマを目指すわけではなく、AIを使うなら、あくまでも副操縦士のような機能を実用化したいと考えている。

私は自動運転が話題になった2014年ごろから、きっと二人羽織でお蕎麦を食べるような感じかな、と直感的に感じていた。

そう、人か運転するのか、あるいはシステムが運転するのかという自動運転のシナリオよりも、4本の手でお蕎麦を食べるといいのではないかと。

●ヒューマンエラーによる交通事故を減らすために

「CO-Pilot1.0」
「CO-Pilot1.0」「CO-Pilot2.0」開発風景

本題に入る。交通事故の95%以上がヒューマンエラーと言われているが、その中身は未熟なスキルから、悪意を持った乱暴な運転、時には体調不良による事故も含まれている。日本の事故調査から分析すると、眠気や疲労、あるいは急な疾患で正常に運転できないで事故に至るケースがある。そんなとき、自動運転に資する技術を駆使すると、事故を未然に防げるわけだ。

マツダのCO-Pilotの場合、AIシステムが副操縦士の役目を担い、常にドライバーを見守っている。もし、具合が悪くなると、クルマの動きから異常を検知したり、あるいはドライバーの様子をモニターカメラで発見し、警報を鳴らしたら、最終的には単一車線上で緊急停止する。

事故調査データによると、2018年は1年間に269件の体調変化による事故が報告されている。実際は居眠り運転の事故も含まれるので、実際の件数はもっと多いだろう。こうしたシステムは「デッドマン・システム」と呼ばれ、国際的にも基準つくりが急がれている。運転中に脳卒中や心臓疾患で意識を失い、クルマが暴走することに対する対策なのだ。

SOSスイッチ
同乗者がいる場合は、SOSスイッチでも対応できる

高速道路ではACC(追従走行)やLKA(車線維持)を使うケースが増えているが、もしドライバーが意識を失ったら、そのクルマは死人が運転しているのと同じことになる。これを「デッド・マン」と呼んでいる。

日本でも数年前に、観光バスの運転手さんが意識が混濁し大きな事故となったことがある。この頃から議論されてきたのが、見守る技術だ。

CO-Pilot1.0
ドライバーの異常を感知したら、一般道でも高速道路でも安全な場所で停止する

マツダのCO-Pilotは特別なスイッチを操作する必要はなく、人と道と時を選ばずに、常時見守ってくれるわけだ。そのコア技術は3つある。
1つ目はドライバーを見守るためのモニターシステム。
2つ目はシステムによる操縦機能。
3つ目は最終的に緊急停止する機能。
将来はエマージェンシーコールなどとの連携も可能だろう。

●「CO-Pilot2.0」に成長した2025年には、運転するだけで健康診断までできる?

今回、オンラインで発表会に参加し、エキスパートエンジニアに質問をした。

例えば最近のアップルウオッチは心電図まで図れるので、ステアリングを握っていると、体温、心拍数、心電図、体脂肪(肥満)などがわかる。つまり、技術的にはクルマに乗ると健康診断できるわけだ。

マツダは、2025年ごろにはマツダの「CO-Pilot2.0」にアップデートすると述べており、その時はハンドルを握ることで、ドライバーの健康状態まで把握できると述べている。

そこで質問したのは、自動運転が実現するまでは、ハンドルから手を離すハンズオフに反対の意見なのだ。

自動運転レベル0~5
自動運転レベル0~5の定義を今一度覚えておこう

今、日本とアメリカでは自動運転ではないレベル2の段階でもハンズオフは可能だが、欧州は真っ向から反対している。ハンズオフは快適装置であって安全技術ではないというのが、ハンズオフ反対の根拠なのだ。

実は私も同じ意見で、トヨタ・日産・ホンダ・SUBARUが可能としているレベル2のハンズオフは安全技術としては異論がある。マツダは少なくとも2025年のCO-Pilot2.0までは、ハンズオフは装備しないだろう。

「CO-Pilot1.0があるから眠くなっても平気」と考えてはいけない。AEB(緊急自動ブレーキ)と同じで、あくまでいざというときの保険みたいなものなのだ。

栃岡孝宏氏
マツダ 商品戦略本部 主査 栃岡孝宏氏

眠くなったり、疲れたら休憩することは、道交法でも規定されている。

そう、システムの過信はいけない。

他のメーカーとは異なるスタンスで自動運転に資する技術を駆使して、より安心できるクルマを作るマツダの姿勢には、大賛成だ。

最後に気になるのは、2022年に発表されるのはどんな新型車なのだろうか? たぶん、クルマ好きが気にする「あのクルマ」ではないだろうか。

(文:清水 和夫

清水和夫プロフィール
国際モータージャーナリスト・清水和夫氏

【清水和夫プロフィール】
1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
清水和夫WikipediaStart Your Engines/ StartYourEnginesX(YouTubeチャンネル)清水和夫Facebook日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員SIP café 一緒に考えよう、移動の自由のある未来社会

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