■高い悪路走破性から積載性、万一の災害時にも対応する給電機能まで備える究極のオールラウンダー
2代目となる三菱自動車・新型アウトランダーPHEV。以前お伝えしたように、路面状態のいいサーキット走行では、乗り心地の良さや静粛性の高さ、モーター駆動ならではのスムーズな走りを確認できました。公道(オンロード)でも期待を裏切らないスムーズな走りを享受できます。
装着タイヤは、最廉価の「M」が18インチ(235/60R18)、「G」と「M」が20インチ(255/45R20のブリヂストン・エコピアH/L 422 Plus)を履いています。
プレス向け試乗会のステージになった幕張のホテルは、駐車場にアクセスする施設内の路面がかなり荒れていて、2tを超える重量級ボディが上下左右に盛大に揺すぶられます。
一般道に出ると、20インチタイヤの割にフラット感が強く、乗り心地は上々といえそう。
多少バネ下の重さを感じさせますが、足まわりのセッティングが念入りに行われている印象を受けます。また、床下に駆動用バッテリーを積載する電動車両モデルらしく、コーナーでの重心も低く、どっしりとした安定感を享受できます。
一方で、電動駆動らしい床下の重さからくる左右の揺すぶられ感も一般道で感じることもあり、乗り心地に有利と思われる18インチ仕様の走りも気になるところ。
また、試乗会ではあえて満充電状態にはせず(エンジンがなかなか始動しないため)に貸し出されましたが、「NORMAL」モードで街中を普通に走っている分にはモーター駆動(EV)としてまかなえます。
EV走行時は静粛性の高さも印象的で、高級車そのものといえるレベルにあります。満充電にして買い物や送迎程度であれば、ほぼEVとして使えるはず。
アクセルを強く踏み込むか、バッテリー残量が減ってくるか、バッテリーの「CHARGE」モードにすると、エンジンが始動しますが、エンジン始動時の音や振動は、入念に抑えられています。
また、EV(モーター駆動)らしい加速感、減速感が得られるのは、「オペレーションモード」と呼ぶモードで、EVモードの隣にあるスイッチを押すことで、アクセルペダルを中心に踏み替えを抑えながら加減速がコントロールしやすくなります。
もちろん、「B0」から「B5」まで6段階で減速度を選択できるパドルシフトも備わり、「B5」モードにすれば、「オペレーションモード」時よりも強い減速感が得られます。なお、いわゆる停車まで可能なワンペダルではなく、停車時はドライバーがブレーキを踏む必要があります。
一方、「B0」モードにすれば滑走感が強まり、スムーズな走りを容易に引き出せるのが魅力。高速道路の追い越し時やワインディングなどで気持ちよく走りたい際に向く回生レベルといえそうです。
ひとつ気になったのは、新型アウトランダーPHEVのボディサイズ。先代の全長4695×全幅1800×全高1710mmから全長4710×全幅1860×全高1745mmと、とくに全幅は60mmもワイド化されています。
狭い住宅街や駐車時などでは少しネックになりそうで、先代がギリギリ駐車場に入っていた場合は、収まらなくなるケースも出てきそうです。
なお、最小回転半径は、5.3mから5.5mに拡大しています。ボディサイズは大きくなりましたが、通常時でも9.5インチのゴルフバッグが4セット収まるなど、高い積載性を備え、大人4人でのドライブも楽々こなす広大なキャビンが迎えてくれます。
ほかにも、1500Wの大電力をまかなえる給電機能など、1台あれば万一の災害時も安心で、高い悪路走破性による全天候型としての魅力は、フルモデルチェンジでさらに高まっています。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠、塚田 勝弘)