新型アウトランダーPHEVは、EVらしさを増した静かでスムーズな走り、高級SUVにふさわしい高い静粛性や乗り心地の良さが光る

■ルノー・日産・三菱自動車による最新世代のプラットフォームを採用

新型アウトランダーPHEVは、ルノー・日産・三菱自動車アライアンスによる新世代のプラットフォームが使われています。

エンジンルームのサスペンションメンバー、カウルトップまで連続する環状構造が採用され、さらにキャビンのウインドシールドまわり、リヤドア後方のフロアメンバーからリヤピラー、ルーフなども環状構造になっています。同時に、エンジンフード、フロントフェンダーが、スチール製がアルミ製、樹脂製になるなど、軽量化も盛り込まれています。

三菱アウトランダーPHEV
新型アウトランダーPHEVの走行シーン

さらに、ホットスタンプ式の超高張力鋼板(1470MPa)がキャビンまわりに使われていて、高剛性化や軽量化に貢献。実際にミニサーキットを走らせると、剛性感の高さ、ボディサイズの大きさを感じさせない引き締まった乗り味が印象的です。

三菱アウトランダーPHEV
2.4Lエンジンの高効率化も図られている

搭載されるPHEVシステムも刷新されています。フロントとリヤモーター、駆動用バッテリーを約40%出力を向上させたことで、エンジンの出番を抑えながらEV度合いの高いスムーズな走りを実現しています。

出だしから滑らかでトルク感のある走りは、よりEVらしさが増しています。中間加速の反応も抜群で、高速域のパンチ力もまさに文句なし。

なお、駆動用バッテリー(リチウムイオン電池)は、総電力量が従来型の13.8kWhから20kWhに引き上げられ、「M」グレードの航続距離は87km(PとGグレードは、83km)を実現。それでいながら、体積を小型化しながら容量を高め、セルは80個から96個に増やし、総電圧350V・総電力量20kWhを達成しています。

三菱アウトランダーPHEV
メーターディスプレイに表示されるエネルギーフロー

フロントモーターは、冷却効率の向上などにより、最高出力は60kWから85kWに、最大トルクは137Nmから225Nmに増強されています。リヤモーターも最高出力が70kWから100kWに(最大トルクは従来型と同じ195Nm)に向上。

搭載される2.4L MIVECエンジンは、発電効率が改善され、高回転負荷域での燃費向上を実現しながら、最高出力が98kWに向上しています。なお、ハイブリッド燃費は最高値16.6km/L(WLTCモード)。

三菱アウトランダーPHEV
センターディスプレイに表示されるバッテリー状態と航続距離表示

●状況に応じてモーター走行やハイブリッド走行に切り替わるほか、7つのドライブモードを用意

PHEVですので、走行モードの変更も可能です。充電が十分にあればスムーズで静かな「EV走行モード」が可能なのはもちろん、エンジンで発電し、駆動用バッテリーに充電しながらモーター走行で走る「シリーズ走行モード」、エンジンの動力で走行してモーターがアシストする「パラレル走行モード」が充電や走行状態により自動的に選択されます。

三菱アウトランダーPHEV
右はEVモードスイッチ。左は全車標準の「イノベーティブペダルオペレーションモード」スイッチ

ほかにも、走行中、停止中ともにバッテリーに充電する「チャージモード」、バッテリー残量を保ちながら走行する「セーブモード」、エンジンをできるだけ始動させずモーター走行のみとなる「EVプライオリティモード」を用意。最後の「EVプライオリティモード」は、「マイパイロット」や「レーダークルーズコントロールシステム」使用時でも併用できるようになっています。

三菱アウトランダーPHEV
7つのドライブモードを備える

EVやPHEVの特徴であるアクセルペダルのみで加減速できる特性の「イノベーティブオペレーションモード」も備わっています。いわゆるワンペダルで停止まで至ることはなく、停止するにはブレーキペダルを踏む必要があります。クリープも備わり、内燃機関仕様からの乗り替えでも比較的早く慣れそうです。

さらに、走りと燃費の良さをバランスさせた「NORMAL」、舗装路でスポーツドライブを堪能できる「TARMAC(ターマック)」、未舗装路で高い走破性と安定性を高める「GRAVEL(グラベル)」、スリップを抑える「SNOW」、深雪や泥濘で高い走破性を確保する「MUD(マッド)」、モーターとエンジンの実力を最大限発揮できる「POWER」、省燃費モードの「ECO」という7つのドライブモードを用意。

ほかにも、滑りやすい下り坂でも一定速でクリアできるヒルディセントコントロールも備わります。

三菱アウトランダーPHEV
「グラベル」モード

今回の試乗は、プロトタイプを使ったクローズドコース(ミニサーキット)でのちょい乗りでしたが、高い静粛性や乗り心地の良さ、スムーズな加減速、「S-AWC(Super All Control)」によるライントレース性やスタビリティの高さも十分に伝わってきました。

従来型のPHEVからの乗り替え、あるいは初めてのPHEV(SUV)であっても新時代の高級車として満足できるはずです。

三菱アウトランダーPHEV
新型アウトランダーPHEVの走行シーン

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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