コロナ緊急事態宣言からもうすぐ1か月。外出自粛で長期間クルマを動かさない人が気をつけたいポイント5つ

●1か月以上クルマに乗らないとクルマは調子が悪くなる

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための「緊急非常事態宣言」が4月7日に出されてから、もうすぐ1か月。外出自粛で長い間クルマに乗っていない方も多いかと思います。

そんな方はもちろん、予期せぬ入院など何らかの理由でクルマを1か月以上まったく動かしていない場合は、クルマの調子が悪くなることが多いのです。

そこで、ここではクルマを長期保管する場合に最低限注意したいポイントやトラブルが起きた時の対処法5つを紹介します。

1.定期的にエンジンをかける

クルマは、走ることを前提に造られているため、長い間動かさないとコンディションが悪くなってきます。また、保管する駐車場などが屋内か屋外かでも変わりますし、クルマの年式や保管期間でも変わってきます。

屋外に長期に駐める場合は車体カバーをかけることも有効ですが、基本はできるだけ短い距離でもいいので走らせることです。できれば、1週間に1度は30分程度でも近所をぐるりと回るだけでも、コンディションは維持できます。

クルマの長期保管
エンジンは定期的にかけるとコンディションを保ちやすい

1か月以上エンジンをかけない状態が続くと、エンジン内部のオイルはエンジン下部にあるオイルパンに落ちてしまいます。これにより、エンジン内部の油膜がなくなり、腐食やサビが発生する原因になるのです。また、エンジン内部にオイルがなければ、シリンダーなどに傷がついたり、最悪のケースでは焼き付きを起こすこともあります。

もし、走らせる時間がないとか、保存用のクルマで部品待ちなどの理由で走行できない場合は、1週間に1度程度エンジンをかけるだけでも変わってきます。

水温計があるクルマなら針が動くまで、水温計がないクルマでも水温表示灯が付いていますので、青または緑の表示ランプが消えるまでは回転させるといいでしょう。

クルマの長期保管
水温表示灯のランプが消えるまではエンジンをかけ続ける

また、このときは、シフトをすべての段に入れる(MT車もAT車も同様)と、ミッション内のオイルも多少動きますので、ギヤやクラッチが固着するトラブルも防げます。

なお、しばらく乗っていないクルマのエンジンを始動させる場合は、必ず始動前にオイルレベルゲージでエンジンオイルの量を確認し、必要に応じて補充や交換をすることもおすすめします。

クルマの長期保管
久々にエンジンをかける場合は、前もってレベルゲージでオイルの量や劣化していないかをチェックしたほうがいい

2.タイヤの変形やひび割れ有無をチェック

タイヤもチェックポイントのひとつです。長い間クルマを走らせていないと空気が抜けてしまうことがあり、それを知らずに久々に乗ってしまうと大変! 場合によっては事故に繫がることもあります。

長期間クルマに乗らなかった場合は、必ずタイヤの空気圧もチェックしましょう。

クルマの長期保管
タイヤの空気が抜けていないかもチェック

また、タイヤは空気が抜けたまま放置していると、変形やびび割れが起こる可能性もあります。

その場合は、タイヤの性能を維持できない状態になっているため空気を入れても危険です。ですから乗る前には空気圧だけでなく、変形やひび割れにも注意し、状況に応じて交換する必要があります。

クルマの長期保管
タイヤは変形やひび割れにも注意が必要

対策は前述と同様、1週間に1度はクルマを走らせることです。タイヤはゴムでできているため、同じ場所に力がかかり続けるだけでも劣化や変更が起こるのです。

もし、走行が難しい場合は定期的に少しだけでも動かし、接地面を変えるだけでも効果はあります。また、保管中は、空気圧を高めにしておくと変形しにくくなります。

クルマの長期保管
定期的に走らせることが難しい場合は、少しだけ動かしてタイヤの接地位置を変えるだけでも、変形や劣化はある程度防げる

3.バッテリーが上がりに注意

バッテリーは、走ることで充電され適度な充電状態を保ちます。そのため、長い間クルマを走らせていないとエンジンを始動させることができない、いわゆる「バッテリー上がり」の状態になります。

また、その状態が続くと劣化して、きちんと充電ができなくなり交換が必要になります。

クルマの長期保管
バッテリーも長い間クルマに乗っていないと劣化する

オーディオや室内灯を使っていなくても、クルマは常に時計やカーナビ、コンピュータなどのバックアップ電源としてバッテリーの電気を使っています。また、バッテリーには自然放電といって、時間経過で蓄えられている電気が減ってしまうという、構造上の性質も持っています。
つまり長期間クルマに乗らないとバッテリーの性能低下は避けられないのです。

こちらも同じく、1週間に1度はクルマを走らせるか、エンジンをかけることが防止策としては有効です。また、市販のバッテリーチャージャーで定期的に充電する手もあります。

よく、バッテリーの端子を外すことで、クルマの時計などに電気を送らなければバッテリーの持ちがいいといいますが、最近のクルマの場合は注意が必要です。コンピュータの自己診断機能などのバックアップが消えて、再始動する際に警告灯が出るため、ディーラーなどでコンピュータのリセットが必要になるためです。

もし、バッテリーが上がってしまい、バッテリーチャージャーなどもない場合は、ブースターケーブルを他のクルマのバッテリーにつなぎ、電気を一時的に分けてもらう事でエンジンを始動させる「ジャンプスタート」という方法があります。

クルマの長期保管
ブースターケーブルを使い他車のバッテリーから電気を借りて始動させる方法がジャンプスタート

4.長期間、同じガソリンのままにしない

燃料タンクに入れたガソリンも、数ヶ月~半年ほどで劣化し、エンジンなどの不調の原因になります。また、一年以上放っておくと、腐って燃料をエンジン内に噴出するインジェクター内部で固着することがあり、そうなるとエンジンがかからなくなります。

クルマの長期保管
ガソリンが劣化すると、最悪の場合エンジンが掛からなくなるケースもある

対策としてはこれも同様に、定期的に乗って新しいガソリンを給油して古いものと混ぜることです。

携行缶に入れてクルマに給油する方法もありますが、最近は安全のために携行缶でのガソリン販売をしないガソリンスタンドもあります。近所で手に入らない場合は、やはり少しでも走って給油する方がいいでしょう。

クルマの長期保管
携行缶で新しいガソリンを混ぜる手もあるが、スタンドによっては携行缶での販売をしないところもあるので注意

ほかにも、燃料の劣化を抑える添加剤を使う方法や、可能であれば全て完全に抜いておくというやり方もあります(再始動時は携行缶を使う必要がありますが)。

なお、最近のクルマは燃料タンクが樹脂製のものが多いため、タンク自体にサビなどは出にくいですが、金属製タンクを使っている古いクルマだと、満タンにしておかないとサビが出ることがあります。

5.車内を換気してカビ対策

クルマの窓を閉め切った状態を長期間続けると、湿気が多い時期はシートの裏側などにカビが発生することもあります。クルマの中に異臭がするような場合は、カビが原因のときも多いのです。

クルマの長期保管
車内を長い間閉め切っていると、シート裏などにカビが発生することもある

緊急非常事態宣言が、当初の予定通り5月6日で解除され、外出自粛の必要がなくなればあまり気にしなくてもいいかもしれません。ですが、延長され長引くことで梅雨の時期に入ってしまうなどの事態になると、この点も注意した方がいいでしょう。もちろん、そうならないことを祈りたいですけどね。

対策としては、定期的にクルマの窓を開けて換気をすること。家と同じで、空気を入れ換えることです。あとは、車内に除湿剤を入れておくのもいいでしょう。

クルマの長期保管
ウインドウを定期的に開けて、空気の入れ換えをすることもおすすめしたいポイントだ

・再始動時が不安な場合はディーラーなどに相談を

以上は、長い期間クルマを動かさないときに、気を付けたい「最低限のポイント」です。前述の通り、クルマをどういった場所に駐車しているかや、期間、年式や車種などで、コンディションが変わってきます。特に、古いクルマの場合は、足まわりの部品やボディにサビが出てくるなどで劣化することも考えられます。

もし、再始動時に不安があったり不明点がある場合は、ディーラーや購入したお店に相談することをおすすめします。

(文/写真:平塚直樹)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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