清水和夫、フィットに乗る! フランス車風味のこのしなやかさ、ニュルで走らせたいね~【頑固一徹 和】

■視界良し、乗り心地マイルド、スイッチ類シンプル!

●いや~日本車って成熟したね!

Bセグメントのなかで、日本車のレベルが高まっています。フィットは予定していた販売タイミングが遅れてしまったものの、シンプルで使いやすい室内、親しみやすいスタイリング、そしてラグジュアリーなライドフィールを持つコンパクトカーです。今回はFWDのハイブリッドモデル、 e:HEV LUXEをピックアップ。その実力を国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが公道でテストしました。

フィットe:HEV LUXE
フィットのハイブリッド、e:HEV LUXEをテストしましょう。

●トラブルを乗り越え、ついに登場したフィット!

フィット、本当なら2019年秋に量産・市販の予定でしたが、EPB(電動パーキングブレーキ)がトラブって市販が遅れました。でも結果的に、リヤブレーキがドラムからディスクブレーキになったというのが今回の対策。

まず、「え、これがフィット!?」というのが第一印象。乗り心地がいいですね。それにインパネ周りは余計なスイッチがなくスッキリしています。ヘッドライトも自動的に点くしね。

フィットのAピラー
衝突した際の力は手前のAピラーで受けます。この三角窓は視界良好、素晴らしいですね!

第二印象は視界が良くなっていること。ぶつかったときに変形の荷重を受けるAピラーが手前側で、奥側はガラスを支えているだけの二次的なAピラー、こういうふたつのAピラーを作ることによって視界が良くなったので、左折をした時の自転車や子どもの巻き込みがないよう、非常に分かりやすいです。ですからフィットは街中で運転しやすいでしょう。

フィットのコクピット
スイッチ類がシンプルでスッキリしたコクピット。

サスペンションは本当にしなやか。目をつぶって乗ったらフランス車って感じだね(あ、もちろん目をつぶって運転しちゃいけませんよ!)。今回のフィットのチーフエンジニアは、ドイツ車ではなくプジョー、シトロエン、そのへんのしなやかな乗り味を持ったフランス車をベンチマークにしたと言っていました。

日産はルノーと一緒にやっていますが、「日本車とルノーのクルマは何が違うんだ?」って聞くと、「衝突のボディ剛性や曲げ、捩じりなど大きいところの剛性や強度は変わらないけど、サスペンションやタイヤから入ってくる力を受けるところ、部分的なところの剛性がフランス車はかなり強度、剛性を上げている」と聞いたことがあります。

フィット・ハイブリッドのエンジン
コンパクトにまとめるのは大変だったと思いますよ!

多分、フランス車はNVH(Noise・Vibration・Harshness/騒音・振動・不快感)から細かいところをやっているんでしょうね。ダイナミックな話ではなく、音、振動、そういったところを上手く対処するためにストラットの頭の強度などを強化している感じ。そういったフランス車の狙い通りにこのフィットも仕上がっていますね。

もうひとつ、パワートレーンで見ると2モーターハイブリッド。ホンダはついに、この下のクラスにまでストロングハイブリッドを投入してきましたね。元々アコードなどの上のクラスにあった技術ですが、このフィットクラスに持ち込むというのは、いかにパワートレーンを小さく作るか?というところに苦労があったと思います。エンジンだけではなく、補器類などハイブリッドシステム全体をコンパクトに収めたのが、今回のフィット・ハイブリッドの特徴だと思います。

そういった技は、軽自動車を作るメーカーならではのホンダの得意とする領域だと思います。

フィットのタイヤ
ロードノイズはちょっと気になるかな?

ライントレース性、ブレーキ…本当に日本車って成熟しましたね。もうちょっとハイスピードで走ったときにどうなるか? ニュルにでも持って行って走りたいね!

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エンジン、乗り味、ブレーキ、タイヤ他、更なるインプレッションは動画へGO!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの)

【ホンダ フィット e:HEV LUXE】

ボディサイズ:全長3995mm×全幅1695mm×全高1540mm
ホイールベース:2530mm
トレッド 前/後:1485mm/1475mm
車両重量:1230kg
エンジン:直列4気筒DOHC
エンジン排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0×89.4mm
最高出力:72kW(98ps)/5600〜6400rpm
最大トルク:127Nm(13.0kgm)/4500〜5000rpm
モーター最高出力:80kw(109ps)/3500〜8000rpm
モーター最大トルク:253Nm(25.8kgm)/0〜3000rpm
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:前輪駆動
サスペンション:フロント マクファーソン式/リヤ 車軸式
ブレーキ:フロント ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:フロント&リヤ 185/55R16 83V
燃料消費率 WLTCモード:27.4km/ℓ JC08モード:35.0km/L
車両本体価格(税込):2,327,600円

【清水 和夫 プロフィール】

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業

清水和夫プロフィール
自動運転、電気自動車、セーフティドライブ…を得意とする清水さんですが「あ~全開で走りて~!」が口癖だったりします(笑)。

1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。

【頑固一徹試乗とは?】

国際モータージャーナリスト、清水和夫が斬る試乗インプレッション『頑固一徹テスト』。頑固一徹・清水和夫が独自の目線でチョイスした新型モデルを、パワートレイン、シャシー性能、ヒューマンマシンインターフェイス(HMI)の3分野で評価、採点し、その合計点によって10段階で評定します。

■頑固一徹 総合評価指数
3〜6点→★
7〜12 点→★★
13〜18点→★★★
19〜24点→★★★★
25〜30点→★★★★★

■頑固一徹テスト 試乗インプレッション
評価軸(3項目)&評価ポイント
パワートレイン 10段階評価(1〜10点)
シャシー性能  10段階評価(1〜10点)
ヒューマンマシンインターフェイス  10段階評価(1〜10点)

【関連リンク】

StartYourEngines HP
https://www.startyourengines.net

国際モータージャーナリスト、清水和夫が主宰する自動車専門動画ウェブメディア。クルマの限界性能と安全性を徹底的に試すダイナミック・セイフティ・テスト(DST)を始め、国内外の新車インプレッション、注目度の高まる先進安全技術、自動運転など、クルマに関するあらゆるジャンルの動画をサイトアップしています。ぜひぜひ!チャンネル登録のうえご視聴ください。

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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