インテリアも同一のテーマで貫かれ、ダッシュボードの流麗さやサテライトスイッチ類の先進感は、現在の視点で見ても群を抜いた作り込みです。
デザインは荒川健氏をチーフに、後にルノーに移籍した岡崎純氏、コンセプトカーの「KOERU」とまとめた小泉巌氏と、当時の若手実力派が腕を振るったといいます。
いわば、クーペ調セダンの先駆けのボディは、あのジョルジョット・ジウジアーロに「コンパクトクラスでもっとも美しいセダン」と評されました。この流麗なボディは何と5ナンバーサイズ!
当時のマツダは「ときめきのデザイン」を掲げており、ユーノス500はある意味そのコンセプトをもっとも忠実に表現していたと言えます。マツダが誇る高いモデリングの実力は、すでにこのとき確立していたのです。
5チャンネルは解体しましたが、ユーノス500の精神は後の会心作である初代アテンザに引き継がれます。つまり、いまをときめく魂動デザインの原点とも言えるのです。
●主要諸元 ユーノス500 20F
形式:E-CAEPE
全長:4545mm×全幅1695mm×全高1350mm
車両重量:1230kg(4AT)
ホイールベース:2610mm
エンジン:1995cc V型6気筒DOHC 24バルブ
出力:160ps/6500rpm・18.3kg-m/5500rpm
(すぎもとたかよし)