中央自動車道の全線開通で世界最大の日本サーキット誕生!?  昭和だからできた?キャノンボールの禁じ手とは?

【第2ステージ】 処女地にブラックマークを残せ、そして全開!

我がOPTが待ちかねていた中央全通は、勝沼ICから甲府昭和IC間の23.1km区間の開通である。トランザムとセリカ・ターボの眼前に、真新しい路面が開けた! まさに処女を犯すような欲望で、ギヤをシフトダウンして、タイヤのブラックマークを黒々と残す。甲府盆地を貫通するコースは、フラットに近く、全開、全開のルートである。甲府昭和までは100km/h走行でも10分そこそこ。全開なら7分ほどで走り抜ける。長く待ちわびた処女地も、パワフルマシンで走るとあっけない。

韮崎IC(132km地点)付近は緩やかなアップダウンだが、直線が続く。おそらくチューンドカーでも最高速がマークできる。通行量が少ないのも、走り屋心をそそる中央高速の大きな魅力である。眼前に八ヶ岳連峰が迫る。山間の高速コーナーの連続は、ゆるやかなアップダウンとともに、キャノンボーラーにとって気持ちのいい舞台が続く。気になるオービスはなく、パトカーさえ注意すれば、超高速クルージングが、意のままに堪能できるのである。

OPTビッグラン班はコース作りがテーマなので、思い切り突っ走れないのが残念だ。つい床まで踏みつけたくなる欲望を抑えるのが辛い。中央高速で最も日本列島に深く入り込む諏訪湖SAは、176.5km地点である。あくまでも路面は良く、交通量は少ない。景色も素晴らしい。適度なコーナーが続くので、運転にもたるみがなく、まったく疲れを感じない。名古屋以降へドライブするなら、東名より中央をおススメしたいほどである。

しかし、キャノンボーラーは、典型的な中央高速コーナーの走りを身につけなければならない。例えば、諏訪湖先の花岡トンネルを過ぎると、下り左→上り右→下り左→右→左→左→右→トンネル→右複合と続く。コーナースピードは170km/hは行ける。もし、アクセルを絞っても、コーナー出口では全開できるはずだ。ライン取りも自由自在だから、不安なら2車線いっぱいを利用してもいい。

そして中央高速唯一の渋滞点が、かなり曲がり込んだカーブの先、網掛トンネル(263km地点)から恵那山トンネルとなるわけである。この恵那山トンネルは日本一長い8489m、つまり約8kmという、気が遠くなるほどの長く暗い道程だ。制限速度40km/hで、クルマはスピードを厳守している。1車線の対面交通なので、追い抜くこともできない。この間15分ほどが、どれほど長く感じるか経験してみないと分からないだろう。恵那山トンネルを脱出すると、下りの右コーナーだが、まだ渋滞したクルマが間断なく走っているので、スピードは抑えたほうが無難。

中津川IC(289.1km地点)、恵那IC(298.5km地点)瑞浪IC(316.6km地点)、多治見IC(329.9km地点)と過ぎると、東京・高井戸から345.1kmで東名との分岐点、小牧JCTの看板が頭上をかすめ去る。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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