中央自動車道の全線開通で世界最大の日本サーキット誕生!?  昭和だからできた?キャノンボールの禁じ手とは?

【第3ステージ】 渋滞の東名にはスラローム走法が有効だ

復路の東名高速は、走り慣れたルートだ。しかし、小牧JCTから東名に乗って気がつくのは、交通量の多さはいうまでもないが、路面の悪さだ。継ぎ目でクルマがハネるのを痛切に感じる。しかし、中央・東名環状サーキットでは、こうした悪条件をハネ返して突っ走らねばならない。中央ルートがキャノンボーラーの全性能を楽に引き出せるのに対し、東名ルートはいかにハイアベレージを保てるかの勝負なのだ。

トルコンのキックダウンを利用して加速しようとするセリカ・ターボと、トランザムの前方をトラック軍団がさえぎる。追い越し車線に出たトラックが走行車線に戻るまでは、こちらのスピードも100km/h以下にダウンするのは必至だ。トラックが前方から消え加速していくと、必ず120km/hあたりで流す乗用車の集団に追いついてしまう。トラックより始末が悪いのは、追い越し車線を譲ってくれないことだ。例えば、道程標337.6kmの春日井ICから東郷PAまでの20km区間でも、11分もかかってしまう。平均速度は約109km/hである。東名高速がいかに100km/h走行をキープするのが至難のワザか理解できるだろう。集団から抜けても、140~150km/hがめいっぱいだ。そして、すぐ100km/hにダウンされ、もし、上り勾配にでもなれば80km/h以下の場合もあり得る。道路わきの道程標は名古屋IC 325.5km、岡崎IC 293.4km、浜松IC 230.0kmと、数字が減じていく。

この東名ハイ・アベ走行には、テクニックがある。それは、高速道路の禁じ手を逆にとる方法だ。最も効果的なのは、前車を右、左に抜けるスラローム走行だが、それ以外に登坂車線やバスレーンからのゴボウ抜き走法、路肩走法、そして2車線を防いでいるクルマの中央突破テクなどである。これは危険なので、あまりススメることはできない。しかし、イザというときの危険回避テクになることも事実だ。

そして、中央にないスリリングなコーナーの連続が、御殿場ICの先にある。最近では渋滞するので飛ばせないが、300RほどのS字なので、昔は150km/h近いスピードでアタックしたものだ。

厚木ICからゴールの3車線で、東京入りだ。そして、東京料金所で中央高速・八王子からの1周料金、1万800円(当時)也を払う。道程標の“0点”は、直通している首都高料金所300m手前にあった。

首都高はそのまま渋谷線(3号)から環状線、新宿線(4号)をたどると、再び中央高速に戻る。

さあ、キミたちも一度、この日本サーキットのビッグランに凄春の血を燃やしてみないか。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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