──主役のボディラインですが、フロントからの大きな流れはウインドウグラフィックに収束され、リアへ向けたラインはリアドアから別に始まっています
「この二重構造は当初からの案で、1本のラインがそのままリアへ流れるより、こちらの方が前後でしっかりしたボリューム感が出せるんです。意外な手法ですが、サイド面の収まりもいいでしょう?」
──Aピラーの付け根はボディをスッと流さず、わざわざ段差を付けました
「すべてのラインをサラッと流してしまうと、まとまりはよさそうですが退屈な造形になってしまう。この部分はあえて流れを切り、どこか『気にとまる』『引っかかる』形状にしているんです」
──リアランプはボディの流れを受けるには小さく、ちょっと弱いのでは?
「初期スケッチには横長の案もありましたが、正直ここはコストの絡みで2分割構造ができなかった。ただ、今回リアパネルにはかなりの張りを持たせ、サイドボディの大きな曲面をしっかり受け止めています。ここは結構自信のあるところなんです(笑)」
──では最後に。異質のバレーノを完成させ、今後のスズキのクルマ作りに影響するようなことはありましたか?
「やはりワゴンRの呪縛というか、空間を意識しすぎていたかなと。インド市場での声を聞くと日本での考えがちょっと特殊に思えたんですね。その点で、キャビンの形状やボディ断面など今後のモデルに影響があるかもしれません」
(すぎもとたかよし)
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