スズキが送り出す、世界を見据えたAセグメントのサルーンクーペ【東京モーターショー】

第42回東京モーターショーにおいて、スズキ四輪コンセプトカーの主役といえるのが、なんとも艶かしいグリーンのリトルクーペサルーン「REINA(レジーナ)」。

レジーナといえば、1980年代のアルトの売れ筋グレードに使われていた懐かしい名前だなぁと思い出すオールドファンもいるでしょうが、こちらのレジーナは数年先を見据えた次世代グローバル・コンパクトカーの姿をイメージさせるもの。

 

グローバル市場を目指しているのは、ここトーキョーでワールドプレミアを飾りながら左ハンドル仕様となっていることからも理解できるというものです。またAセグメントのサイズながら4ドアのサルーンクーペというスタイルを選んだのも、アジア地区を睨んだものといえそう。

 

パワートレインの詳細は、直噴ターボエンジンという以外に公表されていませんが、減速エネルギー回生機能とアイドリングストップ機能は備えているといいます。かなり具体的な技術の羅列で、コンセプトカーでありながら、中身は意外なくらい現実的な可能性大。

 

●主要諸元

全長:3550mm

全幅:1630mm

全高:1430mm

車両重量:730kg

エンジン:800cc直噴ターボ

ミッション:CVT

JC08モード燃費:32km/L以上

欧州複合モードCO2排出量:70g/km以下

 

 

とにかく眼力が印象的なスタイリングは、リアタイヤが少しカバーされていることから直感できるように、空力性能を重視したもの。こうした空気抵抗を減らしたボディには、新しいアイデアを注ぎ込むことで大幅な軽量化も実現しています。

 

フロントマスクやウインドウが立ち気味なのは空気抵抗に不利な印象を受けるかもしれませんが、フロントでしっかりと空気をわけて、ボディ後部でしっかりと整流。そうすることで、車体後方に生まれる渦を小さく、遠くにするという狙いでしょう。

 

そうした空力へのこだわりが感じられるポイントはリアにあり。

ディフューザー部分にはウイング形状の処理が施され、フロア下を流れてきた空気を遠くに加速させよう、ボディのリフトを抑えようという意思が見受けられます。

マフラーエンドをバンパー中央に配置しているのはデザイン上でのアクセントであり、排気管やサイレンサーを隠すフラットフロアの象徴といえそう。

また盛り上がったリアコンビネーションランプは、それ自体が整流効果のあるエアロデバイスとしてデザインされているとのこと。

 

省燃費のための空力ボディをうまく個性につなげたスタイルが印象的な、スズキの新しい顔になりそうな一台です。

 

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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