乗り心地を決めるのはボディ
「サスペンション関係はどうでしょう。やはり重さを支えることがバン車では重要になってくるので、バネやダンパーの設定はカタめです。ソフトな乗り心地よりも、底突きしないこと。それと、ヨタヨタしないこと。サスペンションのアームやリンクは、高荷重を想定した頑丈な作りのものになっています」
--はい。
「アームやリンクに関しては、それぞれ単体で頑丈なだけでなく、全体としてもガッチリしていないといけません。機構はシンプルに。取り付け部の剛性を高くするためには関節部のラバーブッシュもカタめになります」
--で、乗り心地はカタい。
「乗り心地というと、バネやダンパーをカタくすると悪くなるイメージが一般にあります。でも本当は、決してそうではありません。簡単にいってしまうと、車体がガッチリできていれば乗り心地はよくなります」
--そうですか。
「すぐにワナワナするような車体だと乗り心地はよくならないし、たとえアシをカタめたとしても走りはしっかりしません」
--いずれにしろキモは車体、ということですね。はい。
「それと、バン車はタイヤも違います」
--幅広でペタンコなサイズのものは使われませんね。
「偏平率でいうと、たとえば75とか。サイドウォールをみると、4PRとか6PRとか、乗用車用のタイヤでは見かけない記号が書いてありますが、耐荷重の指標です。当然ながら、商用車用は高荷重対応型です。LTと書いてあるのはライト・トラック用」
--PRはプライ・レイティングの頭文字ですね。昔使われていた綿糸のコードの何枚重ね相当か、という。
「商用車用のタイヤは簡単にいうとカタいタイヤという印象ですが、振動の吸収がよくてあとを引かないので、実は乗り心地がいいといえます。サスペンションとしての能力が高いタイヤ。それと、サイズ的に太すぎたり偏平すぎたりしないので、ハンドル操作に対する反応が穏やか、というよさもあります。余裕をもって進路を管理できる、神経質さのないタイヤ」
--あー。