レーシングカーに公道用ラジアル
「ハンドル操作に対する反応が穏やかなタイヤは、真っ直ぐ走るのがラクなタイヤでもあります。車体やサスペンションがしっかりしているのも真っ直ぐ走ることに関してはプラスの要因です。さらに、ハンドルのギア比がクイックではないこと。少々のことではタイヤの向きがフラついたりしない、あるいはクルマの進路が意図せずグラついたりしない性能が、バン車には備わっています。進路を管理するにあたっての、しっかり感。扱いやすさ」
--それによってもまたトバせてしまう。
「たとえていうなら、レーシングカーに公道用のラジアルタイヤを履かせたような感じでしょうか。タイヤとドライバーの間にぐにゃぐにゃしたアイマイなところがなくて、道路の状況や速度が体感でわかりやすい。進路の管理がやりやすい。アクセル操作に対するレスポンスがいい。おかしなブルブルやガタガタがないから快適で、タイヤの素の特性のとおりに動いてくれる」
--なんだかすごくいいものに思えてきました。
「こうしてバン車の特性をみてくると、どうでしょう。いいスポーツカーに望まれるものがズラッと揃っているとはいえないでしょうか」
--いえそうですね。
「余計な飾りやスペックを取り払った、素の状態のクルマ。素の状態がいいクルマ。視界がいいとか四隅の見切りがいいとか、そういったよさもバン車にはあります。おかしな色つきガラスが使われていたりもしません」
--はい。