そうした中、日清紡ホールディングスが群馬大学の尾崎教授と共同で開発した「カーボンアロイ触媒」が白金の代替触媒としてほぼ同等の発電性能を有することが確認されたそうです。
この「カーボンアロイ触媒」は数%の窒素を含んだ炭素を主成分としてカーボングラファイトに窒素とホウ素を入れてアロイ化したもので、白金と同様に燃料電池の酸素還元反応を促進、溶出を起こさないため、燃料電池自体の寿命延長にも役立つと言います。
価格は白金の6分の1、もしくは10分の1程度まで低減可能とか。
また一方では奈良先端科学技術大学院大学と兵庫県立大学の研究グループが微生物の持つ酵素が常温常圧という温和な環境条件下で水素分子を分解して電子を取り出す反応を触媒する点に着目。
触媒反応を担う分子の構造を真似た人工的な触媒を作れば、燃料電池の高性能化、低コスト化が図れると共に、水素を使う化学合成などの産業分野でも有用な触媒ができるとして、研究成果をドイツの学術雑誌「Angewandte Chemie International Edition」に公開しています。
同研究グループが反応に伴う活性部位の分子構造の変化や鉄硫黄クラスターの電子の状態を詳細に調べたところ、活性部位に最も近い「鉄硫黄クラスター」が電子を失い酸化されている時だけ反応が進んでおり、「オン」「オフ」を切り替えるスイッチ役をしていることを発見。
このスイッチを容易に操作できるようになれば、必要に応じて効率を高める技術に繋がる可能性が有るとしており、人工触媒の設計や化合物の合成にも役立つと見込んでいるようです。
燃料電池は化学反応を利用した技術だけに、産学連携による多方面からのアプローチにより、新たな低コスト化の道が開ける可能性を秘めており、2020年を目処とするFCVの本格普及に向けた研究がいっそう活発化することになりそうです。
■日清紡ホールディングス Webサイト
http://www.nisshinbo.co.jp/r_d/activity.html
■奈良先端科学技術院大学 物質創成科学研究課
http://mswebs.naist.jp/
■兵庫県立大学 理学部 生命理学研究課 発表資料 (PDF)
http://www.naist.jp/topics_pdf/admin_baec9c61715589d081afa0bd5a3cd605_1413448987_.pdf
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