「DINAMIC×SOLID」は次のステージへ。スバルデザインの「今」と「これから」を探る

スバル恵比寿ショールーム(渋谷区)では、3月30日(金)から4月7日(土)まで「SUBARU DESIGN MUSEUM -進化する、SUBARU独自のデザインの現場展-」を開催中です。いま、スバルが発信したいデザインとは何なのか? さっそく会場で確かめてきました。

普段、新型車が並ぶスバルスタースクエアには、今年のジュネーブショーに出品されたばかりの「VIZIV TOURER CONCEPT」をはじめ、同シリーズのコンセプトカー4台が展示、このイベントの主役をつとめます。

自社のコンセプトカーをあらためてショウルームに展示する例は珍しくありませんが、VIZIVはシリーズとして継続出品されているため、進化を流れとして見られる点がこの展示の要です。

会場の中央には「現場展」として、手描きやPCによるスケッチ画、クレイモデル、パーツ類が展示。デザイン関係の取材ではよく見かける素材ですが、家族連れが訪れるショウルームでは貴重な専門ツールとなります。

VIZIVで最新のスバルデザインを見せる一方、会場の隅には初代のアルシオーネやレガシィなどの縮尺モデルが置かれています。つまり、この展覧会は新しい考えだけを伝えるのが目的ではないことを伝えています。

このイベントのもうひとつの見所は、期間中の週末に開催されるギャラリートーク。同社デザイン部長である石井守氏が日に2回、各15分程度のプレゼンテーションを行うという贅沢なプログラムです。

トークは、まず同社前身の中島飛行機時代から始まり、スバル360、そして4WDの元祖である初代レオーネを経て現在へ続きます。スバルは、「安全」「走破性」といった自社製品の基本理念がそのままデザインに反映されるため、歴史と切り離して語ることができないことがわかります。

トークの最後には「NEXT DAINAMIC×SOLID」として、スバルデザインの次の展開が紹介されました。これは、従来止まった姿で考えていた造形から、走っている環境でデザインを進めるというもの。ボディの見え方はもちろん、光の動きや風景の映り込みなど、常に変化する中でこそ「DAINAMIC×SOLID」が深まるといいます。

いま、各メーカーはデザイン・フィロソフィを掲げて自社のクルマのイメージ向上を進めています。ただ、言葉だけの説明ではデザインの一部分しか理解できず、造形の本質を知ることは困難です。自社の成り立ちから振り返る本イベントは、その点望ましいかたちの普及活動といえそうです。

(すぎもとたかよし)

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日本初公開の「VIZIV TOURER CONCEPT」を含むVIZIVシリーズが集合。スバルデザインの「今」がわかるイベントが開催中
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【関連リンク】

SUBARU DESIGN MUSEUM 〜 進化する、SUBARU独自のデザインの現場展 〜 | アクティブライフスクエア
https://www.subaru.jp/lifeactive/programs/design_museum_2018/

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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