【トヨタ2000GT同乗試乗】50年前の作品とは思えない乗り心地としっかり感に圧倒

日本人のみならずとも、クルマ好きの中で嫌いな人はいないんじゃないかと思えるトヨタ2000GT。さまざまなシーンで「展示」されることはよくあり、その度に目を癒してくれる貴重な存在です。

しかし、その見るだけでも満足してしまいそうな美しい肢体の中に入り込める、しかもいい状態で走ることができることはかなり貴重な体験。そんなシーンを味わうことができました。

トヨタ2000GTのオーナーたちが集まり、トヨタ2000GTの生誕50周年を記念したイベントでそれが可能になったのです。

会場にはさまざまな個体が並んでいますが、その中の一台の助手席に座り、現在の感覚で、名車を味わうことができたいのです。

想像の通り、助手席は低いです。まさに腰を下ろして頭を下げて車両に乗り込みます。

小柄なボディの割には車内は前後左右とも意外にも余裕が感じられました。GTという名の通り、グランドツアラーを目指したんだと想像できます。

貴重な個体、恐る恐る静かに走らせるだけかな、と思ったら大間違い! 係員の見ているところを過ぎるとアクセル全開にしていただきました。

その音は、ノーマルの車両としてはかなり勇ましい音量です。やや高めのエンジン音と低めの排気音が車内に「スポーツカーの走る音」として自分の記憶にある通りのメロディーを速度やギヤに合わせて奏でてくれます。

加速も軽い車重のおかげと、低い車体、目線のためかなり速く感じます。ステアリングも隣で見る限り、当時としてはかなりシャープだったんではないでしょうか、コースのシケインをスパンとかわしていきます。外から見ると意外にロールやピッチが大きそうに想像していましたが、車内ではほとんどそれを感じません。

驚いたのは乗り心地の良さと、車体のしっかり感。旧いスポーツカーというとガチガチの足回りでハードなイメージでしたが、そこもGTを狙ったんだと思えます。ボディ剛性もキャビンが小さいためか、しっかりしているように感じました。

正直言って、乗るまでは「カッコイイけど所詮旧いクルマ。乗ってガッカリしちゃうとイヤだな」という懸念はまったく必要ありませんでした。もちろん、最高のコンディションに保たれているから、という好条件もあってのことだとは思いますが。

発売価格238万円というのは当時としては異例なほどの高価格。海外のスポーツカーにも負けない値付けだったでしょうが、そのライバルに引けを取らない性能を有していたと言えたのかもしれません。

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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