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■大雨による災害から愛車を守る方法
梅雨は大雨による災害が増える時期でもあります。最近は毎年のように各地で激しい雨が降り、被害が発生、クルマ関連でも道路が冠水して車両が水没してしまうなど、多くのトラブルが報告されています。
そこでここでは、これからの時期に、もし大雨が降った場合にどういった対策をとったらいいのかなどをご紹介します。
●大雨の時はクルマのトラブルも急増する
被害が大きかった2018年の西日本豪雨を例にして考えてみましょう。JAF広島支部によれば、広島県内では豪雨の降った7月6日〜10日の5日間で2338件のJAF救援要請があり、前年同期比約300%増と非常に多かったそうです。
また、そのうちの冠水に関わる要請は968件と、大雨の影響で多くのトラブルが発生したことがわかっています。
そこで、同支部では、大雨のときの走行で気をつけるべき主なポイントを次のように挙げています。
・アンダーパスなど周囲より低い場所の走行や駐車は避ける
・河川の周囲を走行しているときは川の水位や流れに注意する
・土砂災害を避けるため、海岸沿いや崖のそばの走行は避ける
・乗用車の走行可能な水深は床面に浸からない程度
西日本豪雨の時は、特にアンダーパス(道路の下をくぐる構造になっている立体交差)などの低い場所が冠水し、そこに進入したクルマが水没してしまうというトラブルも発生。「君子危うきに近寄らず」ということわざの通り、危ない場所には進入しないことが一番です。
●もしクルマが冠水したら?
JAF広島支部では、さらにもしクルマが冠水してしまった場合の注意点についても紹介しています。
・すぐに車内には浸水してこないので慌てずにエンジンを停止
・避難する際は、いきなり車から出るのではなく足を浸け水深を測ってから出る
・冠水路では、濁って道路の状況がわからないため一歩一歩確かめながら歩く
・水圧でドアが開かなくなった場合は、緊急脱出ハンマー等を使用しガラスを割って脱出(車両によっては割れにくい窓もあるため事前に確認を)
・一度冠水したクルマは、エンジンを始動すると破損や感電の危険があるので、まずはJAFや販売店に連絡をする
●冠水路ではセダンとSUVで違いあり
ちなみにJAFでは、集中豪雨などでアンダーパスが冠水した場合を想定し、クルマが冠水路を走りきれるかどうかのテストを行っています。
テストは、セダンタイプとSUVタイプで実施。前後にスロープを設けたコースを造り(一番低い箇所を30mの水平部分にした)、水深30cmと水深60cmの時に、時速10kmと時速30kmでそれぞれが走行可能かどうかを実施しています。
まず、水深30cmの時はセダン、SUVともに時速10kmと時速30kmの両方で走行が可能でした。
ところが、水深が60cmになると、セダンではフロントガラスの下端まで水をかぶってしまい、時速10kmでも走りきれず途中でエンジンが停止。
一方のSUVは、エンジンの搭載位置が高いため、水がエンジン内に入らずに時速10kmなら走破が可能。ところが、時速30kmと速度が高くなると、クルマが巻き上げる水の量が多くなりエンジン内に水が浸入、走行距離わずか10mでエンジンが停止しています。
JAFが行ったこのテストはあくまで参考です。実際の冠水路では、水深も水の中の様子もわからなりません。
もし、大雨で冠水路に遭遇したら、前述の通り、安易に進入せずに迂回することを考えた方がいいでしょう。
(文:平塚直樹/写真:JAF)
※この記事は2022年6月7日に再編集しました。
【関連リンク】
冠水路走行テスト(JAFユーザーテスト)
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/submerge/waterway-driving
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