圧倒的な進化で説得力を持たせる ── 新型ディフェンダーの迷いのないデザインとは?

初代のオリジナルモデルが「ディフェンダー」に名前を変えてから30年。いよいよ日本上陸を果たした新型は、道具感満載の初代と比べてどのように進化したのか? さっそく、そのエクステリアデザインについて検証してみたいと思います。

●造形の圧倒的な進化を目指す

ディフェンダー・メイン
クリーンな面とスタンスの良さが印象的な新型

先代よりおよそ300mm長く、200mm広く、160mmほど低い4945mm×1995mm×1970mmのボディ(110シリーズ)は、あくまでモデルチェンジの傾向としては昨今の流れに沿ったもの。疑いようのない巨体ですが、低くなった全高と3020mmという長大なホイールベースによる短いオーバーハングが、巨体なりにスタンスのよさを感じさせます。

プレーンな面で構成される新型のデザインは圧倒的な進化を遂げていますが、ボディ全体の佇まいはもちろん、細部に関するモチーフも徹底して先代に求めているところが特長といえます。

まず、ボンネットフードからつながる厚みのあるフロントグリルや、その両端に構える大型のランプがそう。ランプは先代の丸形に対し、新型は新しいボディにマッチした四角い外形の中に円形を表現。横長のバーによるグリルは実にシンプルでモダンです。

ディフェンダー・サイド
リアまで抜いたサイドウインドウと、ハイテクなイメージを持つフローティングピラー

一方、新型固有の特長となるフロントのアンダーカバーは、小さな穴をパンチングすることで重い表現になることを避け、同時にシルバーの素材がフロント全体のアクセントになっています。

ボディサイドは、フロントフェンダーからリアへ一直線に抜ける豊かなショルダーラインが先代に準じた表現。新型はウインドウとショルダー上面との間に数センチの細い段差を設けていますが、そのカッチリと強いプレスラインに技術の高さを感じます。

6ライトのサイドグラフィックもまた先代同様ですが、リアをブラックで抜きつつ、Aピラーと同じシルバーの「フローティングピラー」で荷室の存在感を出しているのが秀逸。独立したルーフや、独特の「アルパイン・ライト」と呼ばれる小窓も引き継ぎました。

ディフェンダー・リア
スパッと切り落とされたようなリアパネルは先代譲り

スパッと切り落とされたような平面的なリアパネルも先代譲り。新型ではリアウインドウの両端に縦型のブラックパネルを置いたのが見所で、サイドウインドウとの繋がりの役目を果たしつつ、この2本の黒い帯がリアビューのアクセントにもなっています。

さらに、機能ごとに分割されたリアランプも先代に準じますが、新型ではフロントに合わせて四角形にするのと同時に、先の黒い帯の中に置くことで各々が散らばることを避けています。

以上のように、新型はブレーンでシンプルなボディパネルと、ピラー類のシルバー、そしてエアアウトレット、ボディアンダーカバー、リアパネルなど随所に置かれたブラックとの組み合わせが、モダンさと先進感をいかんなく発揮しているのが特長です。

ディフェンダー・リアランプ
ブラックのラインに整然とレイアウトされたリアランプ類

長い歴史を持つ「名車」のモデルチェンジは、たとえばメルセデス・ベンツのGクラスのように先代をそのままなぞるか、あるいは徹底的に変化させるかの二択で、中途半端な変更は失敗の元。

その点、オマージュを感じさせながら、まったく新しい造形に踏み切った新型ディフェンダーはその成功例と言えるでしょう。

ディフェンダー・スケッチ
大きな塊で表現された初期スケッチの1枚

ただし、ここまでトータルコーディネイトされた造形は早々できるものではありません。ここは、フォードやプジョーなどを経て、2006年よりチーフクリエイティブオフィサーに就いたジェリー・マクガバン氏による、一貫したブランディング戦略下にあってこそだと思えるのです。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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