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■発電用ロータリーエンジン搭載車に求められるモノとは?
マツダがロータリーエンジン搭載車の生産を2012年に中止してから11年が経過するなか、ロータリーエンジンを発電専用に使うPHEV、マツダ「MX-30 ロータリーEV」が登場して話題になっています。
試作車による効果確認を2013年に実施以降、10年間の熟成期間を経て遂に具現化された技術で、2023年9月に受注を開始。
各メディア向け試乗会を通して、同車の走行フィールなどが明らかになりつつあります。
発電専用のロータリーエンジンと170psを発生するモーター、高出力ジェネレーターを同軸上に配置。
17.8kWhのリチウムイオンバッテリーと50Lの燃料タンクを組み合わせた独自のシステムで、バッテリーのみで107km、エンジン発電と合わせると計算上、約800kmの航続距離を持つBEVとして使えるのが魅力。
そんなMX-30 ロータリーEVでは静粛性を重視しているのか、かつてのロータリーサウンドは陰を潜めており、ロータリー・ファンの間では、以前にご紹介した86レビンのBEV仕様や、フィアット アバルト 500eのようなサウンドジェネレーター(疑似エンジン音)による”走りの高揚感”を期待する声もあるようです。
●幻のロータリーエンジン搭載車 マツダ「RX500」
一方、”走りの高揚感”ではマツダが53年前の東京モーターショーで公開した幻のスーパーカー、マツダ「RX500」の存在があげられます。
同車のエクステリアデザインは、後にユーノス ロードスターの開発に携わることになる初代デザイン本部長・福田成徳氏によるもので、前ヒンジにより上方へ跳ね上げるシザーズドアの採用や、ガルウイング式の後部エンジンフードが特徴。
レース用にチューニングされた最高出力251ps/23.5kgmを発生する2ローター式10A型ロータリーエンジンをミッドに搭載した2人乗りのスポーツモデルとなっています。
車両サイズは全長4,330×全幅1,720×全高1,065mmでホイールベースは2,450mm。
サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式を採用。車重が850kgと非常に軽量に仕上げられており、cd値0.11の実現と相まって、最高速度は250km/hに達するそうです。
東京モーターショー出品後は国内外各地で公開され、その後社内倉庫で眠り続けていたそうですが、2008年にマツダのお膝元である広島市のヌマジ交通ミュージアムに寄贈され、同館内で展示されていました。
●「RX500」修復でロータリーサウンドが蘇った!
そうしたなか、この世界に1台しか無い“幻のロータリーマシン”をサーキット走行可能な状態に復元したというニュースが注目を集めています。
部品劣化などで走行できない状態になっていたそうですが、ヌマジ交通ミュージアムの意向により、マツダのOBエンジニアらの協力を得て修理を決行。
要のロータリーエンジンが損傷しているのに加え、車体が古いこともあり、代替パーツが無く、作業は大いに難航したものの、苦労の甲斐あってようやく走行可能な状態に復元。
ミュージアム内でのテスト走行を経てサーキットへ持込んだところ、エンジンの調子も良く、無事20周を快調に走りきったそうです。
●やはりロータリーサウンドが必要!?
今後MX-30以外にも、CXシリーズや次期RX-7?などに発電用ロータリーエンジン搭載が見込まれるなか、やはり期待されるのがロータリーサウンド。
“ロータリー”と聞くと、「RX500」とまではいかないまでも、ロータリーサウンドのエッセンスを期待するのが人情というもの。
今後は電動車においても、車種によっては静粛性のみを追及するのではなく、エンジン車を想起させる心地良い車内の音作りが求められそうです。