トーヨータイヤ「PROXES Sport 2」の井出有治評価は「ジワ~ッとたわんで面でグリップする、スタンダードなスポーツ系」

■ハンドリングの粘り、ウェット性で、幅のある走りができる「PROXES Sport 2」

●ウェット性能、凄いよ! 超ヘビーウェイトでも抜け知らず

TOYOTIRES PROXES Sport2試乗
TOYOTIRES PROXES Sport2試乗

オフロード系のOPEN COUNTRY(オープンカントリー)、軽自動車&ミニバン系のTRANPATH(トランパス)などを揃える、トーヨータイヤの様々なブランド。

今回、試走したPROXES(プロクセス)シリーズには、SUV用のSport SUV、サーキット走行もイケるR1R、またドリフト競技専用のR888R Driftなどがそろい踏みしているブランドです。

TOYOTIRES PROXES Sport2を井出有治が試す
TOYOTIRES PROXES Sport2を井出有治が試す

今回、元F1ドライバー・井出有治さんが試走した「PROXES Sport 2(プロクセス スポーツ2)」は、名前の通りスポーティタイプではあるけれど、高度なAIやシミュレーションにより開発されたナノバランステクノロジー「T-MODE」によりCASEにも配慮、ハンドリング、ブレーキ性能をより向上させたプレミアムスポーツタイヤ、という位置づけです。

前回の井出さんレポート「PROXES Comfort IIs」と同じ日、超ヘビーウェットのテストコース(栃木県・GKNプルービンググラウンド)の高速周回路(120km/h制限)とハンドリング路でテストです。

スポーツ2をテストする車両は、高速周回路をアウディA4、ハンドリング路はBMW318iで、サイズはどちらも225/45R18。比較するタイヤは、旧型となるプロクセスSportです。

●PROXES Sport 2の特徴とは?

TOYOTIRES PROXES Sport2の特徴
TOYOTIRES PROXES Sport2の特徴
TOYOTIRES PROXES Sport2のトレッド面
TOYOTIRES PROXES Sport2のトレッド面

2023年2月に発売されたスポーツ2は、コンフォートIIsと同じく左右非対称のブロックパターンを採用。インサイドのトラクショングルーブエッジでブレーキ性能向上、アウトサイドのナローグルーブでハンドリング性能向上、高剛性リブによりコーナリング時のグリップ安定性を向上、とあります。

また、左右非対称はトレッドパターンのみではなく、コンパウンドも違うのです。インサイドはフレキシブルコンパウンドを採用、柔軟性があり路面の凹凸に追従。アウトサイドはリジッドコンパウンドを採用、高負荷時の変形を抑制しハンドリング性能もアップさせる、とのこと。

プロクセスシリーズの中の「スポーツ」とありますが、他のTR1やR1R(Sタイヤっぽい)のスポーツ度とは違い、どちらかといえば全性能域をアップさせた、そんな雰囲気がトレッド面からもうかがえます。

TOYOTIRES PROXES Sport2の井出有治試乗
TOYOTIRES PROXES Sport2の井出有治試乗

ではさっそく、も~カンベンして~!なくらいの超ヘビーウェットの中ですが井出さん、乗ってみましょう!

「あ、ボク、今日くらいのスピード域ならドライでもウェットでもあまり関係ないので大丈夫ですよ!」…マジ?

●Sport 2を高速周回路で試してみた。あれ、旧型のほうが好みカモ?

YujiIde_toyotires_proxes_sport2_01「まず旧型。いい意味で普通だし、違和感はなかったです。

高速周回路でスポーツとスポーツ2を比較してみた
高速周回路でスポーツとスポーツ2を比較してみた

で、新しいスポーツ2はもっとしゃきっとするのかな?と思ったら、高速周回路ではタイヤ全体がちょっとたわむような感じ。かといって柔らかいというのではなく、しなやかな感じですね。

高速道路でのレーンチェンジを模したスラロームをしたときも、おさまりが悪いとかじゃなく、変にペタッと柔らかい感じでもなく、全体がじんわりとしなるような、たわんでいるような感じで、どちらかというと乗り心地がイイ感じ。なんとなく全体的に、どちらかというと新型は旧型に比べマイルドな方向に振ったのかな、っていうのがファーストインプレッション」。

YujiIde_toyotires_proxes_sport2_01「ボクが好きなタイヤは剛性の高いもの。なので、高速周回路で乗った限りは、旧型のほうが個人的には好み。旧型のほうがスポーツ感があり、新しいほうのスポーツ2はしなやかさが勝っていたかな。

TOYOTIRES PROXES Sport2のブレーキング性能も剛性があってマル
TOYOTIRES PROXES Sport2のブレーキング性能も剛性があってマル

でも、高速からのABS効かせながらのフルブレーキングに関しては、新型のほうが縦のバネがしっかりしているから、変につぶれるとかの感覚は無いし、踏んでもちゃんとタイヤがクルマを支えてくれていました。剛性が弱いとブレーキを強く踏んだ時につぶれて、ブレーキングでクルマが落ち着かなくなるんだけどね。そこは凄く安定していましたね」。

●高速での1stインプレとは違う、面が広がることで懐の深い顔を見せた新型Sport 2

YujiIde_toyotires_proxes_sport2_01「高速周回路で感じたファーストインプレッションから、ハンドリング路では全然グリップが無いかも…と思ったら、柔らかいけど、Gがかかってタイヤがたわめばたわむほど、接地面が広がるような感じで、より深いところでのグリップ感が高いんですよ。

ハンドリング路では面でのグリップ増を感じる
ハンドリング路では面でのグリップ増を感じる

高速で走った時に柔らかい感じがするって言ったけど、それがハンドリング路では幅があるから、グリップ感が高い方向に振れているんだなって。

ハンドリング路では、切ったときの荷重移動が大きいので、そこでの違いがはっきり分かり、しかもフィーリングとしても良かったです。好みもあるけど。新型は内圧をちょっと高めにして、レスポンスを出したいっていう好みに合わせてもいいと思いますね」。

YujiIde_toyotires_proxes_sport2_01「高速でたわむ量が大きいと感じたのが、ハンドリング路でもやっぱりたわんで動くんですけど、動いた後にグリップが抜けたら悪い感じしかないのが、たわんで接地面が広がるというか、面でのグリップ感が出て、しかも深いところでのグリップ感があるんです。ただ柔らかいだけではなくて、踏ん張ってくれるというか。

ウェット性能がいいですね~
ウェット性能がいいですね~

タイヤを潰していくとマップが広がる感じでグリップする。たわみながらもグリップしながら曲がっていく。それが、ただ柔らかいだけだと、ブレークしてただのアンダーステアになったりするんですが、抜けないでグッと面でグリップしてくれている感じ。

ヘアピンとかのタイトなコーナーでは、舵角が増えていっても抜けないで粘ってくれていました。柔らかいタイヤって、舵角が多くなっていくと切っているのに対しズルズルと抜けていく方向になるのが、アングルがワイドになってもちゃんとついてきてくれていたしね」。

このドシャ降り+散水によるウェット性能はどうでしたか?

YujiIde_toyotires_proxes_sport2_01「排水性、凄く良かったですよ! 軽いS字というかクランクのところに深めの水たまりが結構あって、旧型だと多少、水たまりを気にしながらライントレースしたんだけど、新しいほうは水たまりに入ったときに不安感が無いというか、そのままいけたし。

旧型のスポーツも悪くないんだよね~
旧型のスポーツも悪くないんだよね~

ン~、ドライで走りたかったなぁ。でも、この超ヘビーウェット+散水で増水していても、このスポーツ2ならけっこう安心してイケますよ」。

●あとちょっと、瞬間レスポンスも欲しい、カモ

YujiIde_toyotires_proxes_sport2_01「タイヤがたわんで面が広がりグリップする…、そういう感覚って好みもあるんだろうけど、感覚的にはそれがちょっと行き過ぎていて、切った瞬間のレスポンスが足りないとも感じるんですよね。

もうちょっと早く乗ってくれるような感じになれば、もっと少ない舵角で行けるんだけど、どうしても曲がろうと思った時に、自分が思っているよりもワイドなところで瞬間的に来るので、そこはちょっと気になるトコロ。

瞬間レスポンスももうちょっと欲しい、かな
瞬間レスポンスももうちょっと欲しい、かな

欲を言えば、そこがもうちょっとあればもっといいんじゃないかな。あ、もちろんそれぞれの好みだけど。ショルダーに乗るのがちょっと遅れちゃうような、ショルダーにもうちょっと踏ん張ってもらえたらなって。だから、立ち上がりのきっかけが遅れるような感じもしちゃいました」。



プロクセス Sport 2は、新旧で比べてスポーツ度がよりアップというよりも、全体性能がアップし、より静粛性や乗り心地、特にウェット性がより向上した、そんなインプレッションでした。

(テストインプレッション:井出 有治/文:永光 やすの/画像:平田 勝、トーヨータイヤ)

TOYOTIRES PROXES Sport2サイズバリエーション
TOYOTIRES PROXES Sport2サイズバリエーション

【TOYO TIRES PROZES Sport 2 サイズラインアップ(全23サイズ)】
・18インチ
225/40 R18 92Y
235/40ZR18(95Y)
245/40ZR18(97Y)
255/40ZR18(99Y)
215/45 R18 93Y
225/45ZR18(95Y)
235/45ZR18(98Y)
245/45 R18 100Y
235/50 R18 101Y
235/60 R18 107W

・19インチ
225/35ZR19(88Y)
235/35ZR19(91Y)
245/35ZR19(93Y)
255/35ZR19(96Y)
265/35ZR19(98Y)
275/35ZR19(100Y)
225/40 R19 93Y
255/40 R19 100Y
225/45ZR19(96Y)
245/45 R19 102Y
255/50 R19 107Y
235/55 R19 105Y

・20インチ
255/35ZR20(97Y)

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この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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