元F1ドライバーだったら違いがわかるでしょ!ってことで、井出有治にホンダアクセスの「ギザギザ」実効空力パーツがホントに効くのか試してもらった

■元F1レーサーでなくてもわかるくらいの違いがあった、ホンダアクセスの実行空力「ギザギザ」パーツ

実は群サイ(群馬サイクルスポーツセンター)走るの初めてなんです!
実は群サイ(群馬サイクルスポーツセンター)走るの初めてなんです!

9月20日に新米パパとなった井出有治です。

今回、ホンダアクセスの実効空力を体験した群馬サイクルスポーツセンター、通称『群サイ』。

実はここ…某メーカーのワークスだった時代に、「絶対にアソコは走るなキケン!」とクギを刺されていたステージ。なので、自分は群サイ初体験!

しかも、これまで群サイを走ることを避けてきた自分なのに、シビック・タイプRのステアリングを握ってテストをするということは、“全開走行”を求められているということ。

とりあえず、少しでも安全に走れるように、アライヘルメットの中でも最上級モデルの“カーボン製ヘルメット”を持参しました。クローズドとはいえ、ちょっとドキドキです(汗)。

●「実効空力」って…なんだ? こんだけで違いが分かるのか?

元F1ドライバー自らギザギザを貼ってます
元F1ドライバー自らギザギザを貼ってます

今回の、ホンダアクセスのパーツ装着車試乗会資料を見ていて気になったのが、「実効空力体感試乗」という一文です。

ボクはこれまで、レーシングカーで様々な空力テストを経験してきたけど、基本的に低速スピードで比較テストを行って評価することが難しいことは理解しています。

しかも、市販車で空力の違いを確認することは更に困難です。ここ(群サイ)での速度域で本当に違いが分かるんだろうか…読者のみんなにその違いをしっかり伝えられるんだろうか…ちょっと不安。

N-BOXにギザギザを貼り付けました
N-BOXにギザギザを貼り付けました
N-BOXにギザギザを貼り付けました
N-BOXにギザギザを貼り付けました

用意されていた車両は、実行空力テールゲートスポイラーが市販された「シビック・タイプR」。それになぜか「N-BOX」。さらにのこぎりの歯のようにギザギザにカットされたマグネットです。

まず最初に、このギザギザマグネットについてエンジニアさんからも丁寧に説明を受けたけれど「はぁ…」。

このマグネットをN-BOXのルーフ後端に貼って走ると違いがある、とのことですが、それくらいのパーツを装着しただけで何か違いを感じられるとはとても思えなかったからです(この時点での正直な気持ちw。ホンダアクセスのエンジニアさんごめんなさい!!)

●さて、実走! まずはN-BOXでギザギザをテスト。すると…!

ギザギザパーツ、貼ってみました
ギザギザパーツ、貼ってみました

まずは、ノーマルN-BOXでショートコースを走ります。初めて走るコースのチェックをしつつ、クルマのフィーリングを身体にメモリーします。う〜ん、普通の軽自動車です。

次に、いよいよホンダアクセスの「ギザギザ」をN-BOXに装着!

「これをご自身でN-BOXのルーフ後端へ貼ってください」と手渡されたパーツは、のこぎりの歯のようにカットされた樹脂に、ボディへ簡単に取り付け、取り外しができるよう、マグネットが貼り付けられています。

これはあくまでも実験用パーツで市販されていません。念のために確認しましたが、その磁力が効果を生み出すものではないそうです(某エレキバンとは違うわけですw)。

装着する際、手に取って改めて思ったこと…「これを貼っても何も変わらないだろうなぁ…(何度もごめんなさいw)」。

ギザギザありとなしでN-BOXの走りを比べます
ギザギザありとなしでN-BOXの走りを比べます

しかし、エンジンを始動して動き出し、なんと! コースに入る手前にある小道を通過する際に、すぐに「ギザギザ」の効果を感じられました。この時のスピードは30km/h以下です。

ギザギザありとなしでN-BOXの走りを比べます
ギザギザありとなしでN-BOXの走りを比べます

頭に浮かんだのは「ん〜〜〜、これは気のせいだ! レーシングカーでも何か比較テストを行う際に大切なことは『先入観を持たずに走ること』。だから、今日も先入観を持ってはいけないと思っていたのに…」。

なので、実はこの時、同乗者であるクリッカー編集長にはこう感じたのを黙っていることにしたのです。

ギザギザありとなしでN-BOXの走りを比べます
ギザギザありとなしでN-BOXの走りを比べます

コースインしてスピードを上げていきます。コーナーへのアプローチでステアリングを切りクルマがロールすると、さっきまでと違い安定しています。路面の凸凹にタイヤやサスペンションが動いていると感じていたのが、リアの動きが落ち着き、フロントの入りも良くなったのです。

ギザギザありとなしでN-BOXの走りを比べます
ギザギザありとなしでN-BOXの走りを比べます

一度クルマを停めて「ギザギザ」を外し、ノーマルに戻して確認をすると、動きも元に戻りました。

ということは…。

「ギザギザ」が何らかの空力効果を生んでいるということ!?

●シビック・タイプRでコースイン。違いは…ウ~ン

ホンダアクセスのシビックタイプR用テールゲートスポイラー(リアルカーボン×レッドポリエステル綾織り)27万5000円
ホンダアクセスのシビックタイプR用テールゲートスポイラー(リアルカーボン×レッドポリエステル綾織り)27万5000円

続いて、本日のメインイベント、シビック・タイプRで「ギザギザ」有無のテールゲートスポイラーをテストです。

今度は、ギザギザなしのノーマルスポイラーとホンダアクセスのギザギザ付きスポイラーを付け替えてテストを行います。

こんなとこにギザギザが…
こんなとこにギザギザが…
触ってみると確かにギザギザが凸凹してる
触ってみると確かにギザギザが凸凹してる

シビック・タイプRには、ノーマルでもリヤスポイラーが装備されていますが、このホンダアクセス製テールゲートスポイラーは、リアルカーボンにレッドポリエステルが織り込まれていて、よく見るとカーボンの中に赤い繊維が使用されているのがわかります。

カーボンブラックの奥にレッドのポリエステルが綾織りされています
カーボンブラックの奥にレッドのポリエステルが綾織りされています
これがテールゲートスポイラー裏側のギザギザ
これがテールゲートスポイラー裏側のギザギザ

見た目のかっこよさが段違いです。リアルカーボンの貼り付け工程が手作業のため、大量生産には向いていない製品だそうで、27万5000円という価格にも納得です。

ホントに効くのか? 乗ってみます!
ホントに効くのか? 乗ってみます!

先程のN-BOXほど、走り出してすぐにはその効果は実感できませんでした。

正直、N-BOXのほうがシビックよりも「ギザギザ」の効果を確認できたと思いますが、シビック・タイプRがコーナーを抜けていくときの安定感が向上しているように感じます。

ノーマルに比べ、ステアリングを切ってコーナーを曲がっているときに余裕が生まれるようなイメージでしょうか。

しかしそれよりも、普通にシビック・タイプRの運動性能の良さを楽しんでしまいました(スミマセン笑)!

●新型「シビック タイプR」は素直なハンドリング。全開で乗りたい!

井出有治、初めての群サイをタイプRの実行空力パーツで走る
井出有治、初めての群サイをタイプRの実行空力パーツで走る

ここでちょっとだけ、群サイでの新型「シビック・タイプR」インプレッションをお伝えしますね。

井出有治、初めての群サイをタイプRの実行空力パーツで走る
井出有治、初めての群サイをタイプRの実行空力パーツで走る

動き出しのクラッチミートで、初試乗にありがちな半クラに少し難しさを感じてスタート。1速、2速をフルスロットで加速すると、キチンとトラクションが掛かり、しっかりと加速してくれます。

エンジンの特性もトルクバンドにクセもなく、ストレスなく回し切ってからシフトアップ! しかも、シフトチェンジする際のフィーリングもスコスコ入るから気持ちが良い! 節度感のあるマイルドな手応えで各ゲートに入る感じが、マニュアル車を走らせるドライバーの心を楽しませてくれます。

井出有治、初めての群サイをタイプRの実行空力パーツで走る
井出有治、初めての群サイをタイプRの実行空力パーツで走る

ハンドリングに関しては、少ない舵角でコーナーへのアプローチで飛び込むことが出来て、FF車に乗っていることを忘れるくらい。

それと、実際に走ってみると、外観や寸法以上にトレッド(前1625mm/後1615mm)が広く感じ、また重心も低く感じられました。なので、足まわりは固く締め上げられたものではないのに、コーナリング中のロールが少なく感じられるし、コーナー間での切り返しでもレスポンスがいいのです。

群サイに住んでいるお猿さんがたくさん居た下りのヘアピンコーナーのクリッピングポイントで、フロントに大きく荷重が乗っている状態で切り足しても、タイヤのショルダーでしっかりと路面を捉えている感じがステリングから伝わり、アンダーステアも最小限に収まります。ミシュランのパイロットスポーツ 4Sの性能も物凄くいいし、このタイヤ、シビック・タイプRにぴったりですね。

初めての群サイで、しかも小雨で路面が濡れている箇所もあり、シビック・タイプRではクルマの性能を最大限に出して走ることが出来なかったので、いつかサーキットで全開走行して、本来の目的であった「ギザギザ」の再評価もしたい!と思わせてくれました。

●ホンダアクセスの探求心、「実効空力」を生体験。N-BOXでの違いはビックリ~!

「実行空力パーツ、不思議だけど効きますね」
「実行空力パーツ、不思議だけど効きますね」

今回、「実効空力体感試乗」という貴重な経験をさせて頂き感謝です!

また、これだけ自動車の開発技術が発展しているのに、まだ科学的根拠で証明されていないものへの可能性を、エンジニアの方たちは「探究心」を忘れずに楽しく開発に取り組んでいることに嬉しく思います。

ホンダアクセスらしいクルマの開発を感じさせてもらえた、貴重な取材でした。

(文:井出 有治/写真:井上 誠)

●シビック・タイプR ホンダアクセス用品装着車

●シビック ホンダアクセス用品装着車

※記事中の価格はすべて税込み・取付費別です。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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