自転車のNG運転とは?守らなければ罰則や賠償金を支払う可能性も。ヘルメット着用も努力義務に【自転車の交通ルール】

■自転車のヘルメット着用が努力義務化された

新生活が始まる4月は、新しい制度が開始されることも多く、2023年4月1日からは自転車のヘルメット着用が努力義務化されました。

2023年4月1日から自転車のヘルメット着用が努力義務化された
2023年4月1日から自転車のヘルメット着用が努力義務化された

これまでは13歳以下の子どもが対象でしたが、これからは年齢にかかわらず、自転車を運転する人や同乗する人は、ヘルメット着用の努力義務対象となります。

これを機に、自転車の細かな交通ルールもおさらいしておくとよいかもしれません。自転車は、道路交通法上では「軽車両」と位置づけられており、原則として車道走行で左側を走ることになっています。また、クルマと同様に飲酒運転は禁止されています。

ほかにも、さまざまな交通ルールがあるため、今回は意外に知られていないことを中心に、自転車の交通ルールについて紹介します。

●並走は原則禁止

自転車の並走は原則禁止されている
自転車の並走は原則禁止されている

通学で利用している人も多い自転車。登下校の際に自転車が数台まとまって走行し、なかには並走している様子もうかがえます。

しかし、この並走は原則として道路交通法にて禁止されています。「併進可」の道路標識がある場合に限っては、2台までは並走してもよいことになっています。が、原則として並走は禁止されており、違反した場合は2万円以下の罰金または科料に科せられることになっています。

●自転車は軽車両扱い

また、道路交通法上では自転車は軽車両とみなされるため、一時停止の標識では、いったん止まって安全確認をおこなわなければなりません。

自転車の「指定場所一時不停止違反」は、クルマの罰則より重く、3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。当然ながら、一時停止の標識を無視すれば、歩行者やクルマと接触する可能性があります。ほかにも、進入禁止や一方通行、徐行などの標識にも従わなければいけません。

さらに、交差点では二段階右折しなければいけないことになっています。一時停止の標識や、原則として左側を走行する交通ルールがあるためです。

●危険を感じたとき以外はベルを鳴らしてはいけない

周囲に危険を知らせる以外の目的でむやみにベルをならしてはいけない
周囲に危険を知らせる以外の目的でむやみにベルをならしてはいけない

道路交通法により、公道を走る場合はベルの装着が義務化されていますが、危険を防止するとき以外は、ベルをむやみに鳴らしてはいけないことになっています。

たとえば、歩行者が突然飛び出してきて、危険を察知し、事故を防ぐときにベルを鳴らすことは認められていますが、歩行者に自分の存在を知らせて避けてもらうためにベルを鳴らすことは違反となります。

●傘さし運転やイヤホンで音楽等聞きながらの運転もNG

周囲の音を遮断しての運転は非常に危険
周囲の音を遮断しての運転は非常に危険

傘をさしながらの運転や、イヤホンやヘッドホンを使用しながらの運転も、安全性が欠ける恐れがあるため、基本的に禁止されています。

まれに傘を専用器具を使って自転車に取り付ける人を見かけることもありますが、違反行為に変わりはなく、5万円以下の罰金に処せられる可能性もあります。

イヤホンやヘッドホンを使用しながら、自転車に乗っている人を多く見かけますが、道路交通法第70条や第71条1項6号で定められている「安全運転の義務」に触れる恐れがあり、自治体によっては条例で明確に禁止しているところもあります。

たとえば、東京都では道路交通規則の第8条にて、難聴者が補聴器を使用する場合、または、公共目的を遂行する者が当該目的のための指令を受信する場合にイヤホンなどを使用するとき以外は、イヤホンやヘッドホンを使用しながらの運転を禁止しています。

つまり、娯楽として音楽を楽しむためにイヤホンやヘッドホンを使用しながら、自転車に乗る行為は禁止されているわけです。違反すると、5万円以下の罰金に処せられることもあり、思わぬ事故のきっかけになる恐れもあります。

●自転車の交通ルール、知らなかったでは済まされない!

クルマと同様に、自転車にもさまざまな交通ルールが定められており、違反して事故を起こすと、刑事上の責任を問われ、相手を死傷させた場合は民事上の損害賠償も発生します。

たとえ、自転車に乗っていた人が未成年であっても、監督義務のある親に賠償金の支払い義務があり、免れることはできません。

過去には、イヤホンで音楽を聴きながら自転車を運転して、歩行者の77歳女性をはねて死なせたとして、重過失致死罪に問われた大学2年生の20歳男性が、禁錮2年6ヵ月、執行猶予3年(求刑禁錮2年6ヵ月)の有罪判決を受けた事例もあります。

自転車事故を起こすと、自分が死傷する恐れがあるだけでなく、相手を死傷させ、高額な賠償責任を負うこともあるため、交通ルールはしっかり守り、安全運転を心がける必要があります。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])

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