やってはいけない「ETCキセル」の手口とは? 軽自動車のETC車載器を普通車で使うと不正通行!再セットアップで正しく使おう

■「ETCキセル」は違反行為。軽自動車と普通車での使いまわしは禁止

ETCゲート
近年では「ETCキセル」などと呼ばれる行為が目立っているようです

有料道路を利用する際、料金所で停止することなく料金支払いが可能なETC。その利便性の高さから現代のクルマにおいて一般化してきており、国土交通省によると、2022年10月時点のETC利用率は94.0%を記録しています。

一方、ETCの利用率上昇の裏で、不正通行者が増えているのもまた事実です。通行料金を不法に免れる不正通行は、れっきとした犯罪行為に当たりますが、近年では「ETCキセル」などと呼ばれる行為が目立っているようです。

ETCキセルとは、「通行料金の安い軽自動車等の情報が登録されたETC車載器を、普通車に取り付けて走行し、本来支払うべき通行料金の支払いを不法に免れる行為」のことをいいます。

登録情報に変更があったにも関わらず、車載器の再セットアップをおこなわなかった場合は、道路整備特別措置法の第24条第3項(*注)に違反したとして、割増金が科されたり、逮捕される可能性もあるので、絶対にやめましょう。

実際に、2020年7月に東名高速道路などのETCレーンにおいて上記の行為を行い、道路整備特別措置法違反の容疑で送致された事例もあります。

車載器を軽自動車と普通車で使い回しすることは、「知らなかった」や「バレないだろう」などの考えで許される行為ではないので、正しい認識を持たないといけません。なお、自分名義のETCカード自体の使い回しについては、軽自動車と普通車であっても問題はありません。

●再セットアップが必要な場合とは?

ETCカード
登録情報に変更があったにも関わらず車載器の再セットアップをおこなわなかった場合は、道路整備特別措置法の第24条第3項に反します

前述した通り、「車載器の使い回しはNG」です。登録情報に変更があったにも関わらず車載器の再セットアップをおこなわなかった場合は、道路整備特別措置法の第24条第3項に反します。では、この「登録情報の変更」とはどのような状況を指すのでしょうか?

ETCカードや車載器の識別処理情報の発行、車載器のセットアップに関するシステムの開発運営を行っている「ITS-TEA」によると、下記の3つの場合が当てはまるようです。

まず、「車載器を他の車に付け替えたとき」です。車両の買替え等により旧車両の車載器を新しい車両に取り付ける場合は、車両情報が変更になるため、再度セットアップが必要です。また、セットアップ済みであっても、新しい車両に取り付ける場合は再セットアップが必要なので注意が必要です。

次に「クルマのナンバープレートを変更した場合」です。引っ越しや、車載器が取り付けられている車両の譲渡、車両の用途変更等により、車両ナンバーが変更された場合には、再セットアップをしましょう。

最後は「車両にけん引装置をつけた場合」です。ETC車載器の取り付けられた車両をボートトレーラーなどのけん引装置を設置できる状態へ改造した場合にも、再セットアップを忘れずに行いましょう。

なお、「ITS-TEA」によると、正しく再セットアップを行っていない場合は、下記のことが起こる場合があります。

ETCゲート
正しく再セットアップできていないと、サービスが受けられないこともあるので注意しましょう

・正しいETCのご利用とならず、開閉バーが開かない可能性があります。
・正しい通行料金が請求されない場合があります。
・ETC利用照会サービスなど、一部のETCサービスがご利用いただけません。
・各種ETC割引が適用されない場合があります。(時間帯割引等)
・ETC2.0サービス各種が受けられない可能性があります。

ETCはその便利さからも多くの人が利用するシステムですが、だからこそ、それぞれがしっかりとルールを守らなければなりません。

もちろん、ETCレーンのバーを強行突破するといった不正利用も犯罪ですが、ETC車載器の再セットアップなど、うっかり忘れてしまいそうなことが犯罪行為に繋がる場合もあるので注意が必要です。

*道路整備特別措置法第24条第3項:会社等又は有料道路管理者は、この法律の規定により料金を徴収することができる道路について、料金の徴収を確実に行うため、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の認可を受けて、料金の徴収施設及びその付近における車両の一時停止その他の車両の通行方法を定めることができる。この場合において、第一項本文の規定により料金を徴収される自動車その他の車両は、当該通行方法に従つて、道路を通行しなければならない。

※2021年12月7日の記事を2023年1月17日に追記・再編集しました。

梅村 ゆき