ウエットブレーキ停止距離10%短縮を実現したオールシーズンタイヤ【グッドイヤー ベクター フォーシーズンズ GEN3試乗・サマー編】

■グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター フォーシーズンズ GEN3」を夏のドライ&ウェット路面でテスト

GEN3ロゴ
GEN3のロゴは小さく控えめになっている

2022年2月に行われた雪上試乗から半年後の8月末、「ベクター フォーシーズンズ GEN3」のドライ&ウエットのテスト試乗と一般道試乗を行いました。

テスト試乗では日産リーフでのドライ路面でのスラローム、トヨタ・カムリとトヨタ・ハリアーによるウエット路面でのブレーキを比較試乗しました。比較するのは、先代モデル「ベクター フォーシーズンズ ハイブリッド」です。

ドライ路面でのスラローム比較では、乗用車用「GEN3」は「ベクター フォーシーズンズ ハイブリッド」に比べてしっかりしたハンドリングを持っていることが感じられました。

乗用車用「GEN3」はスラロームの切り返し時、つまり右から左にロールが大きく動くときでもグリップがしっかりしている印象です。「ベクター フォーシーズンズ ハイブリッド」が腰砕けになるわけではありませんが、よりしっかりとした剛性感があり、空気圧を高く設定したかの印象でした。

●ウェット路面での制動距離短縮が素晴らしい

GEN3 ウエットブレーキ2
トヨタ・カムリとベクター フォーシーズンズ GEN3の組み合わせ。初期制動力が高い印象

なによりも驚きだったのが、ウエットブレーキでの制動距離です。まず、トヨタ・カムリを使って「ベクター フォーシーズンズ ハイブリッド」と乗用車用「GEN3」の比較試乗を行いました。

GEN3 スラローム
しっかりしたハンドリングを披露したベクター フォーシーズンズ GEN3と日産リーフの組み合わせ

指定されたウエット路面に70km/hで進入、計測器が60km/hから0km/hまでの減速距離と減速Gを計測します。その結果は3回の平均で「ベクター フォーシーズンズ ハイブリッド」が19.5m、乗用車用「GEN3」が17.5mで11%減。減速ピークGは0.8Gと0.9Gで、乗用車用「GEN3」が0.1G高く発生していました。

●SUV用オールシーズンタイヤ「ベクターフォー シーズンズ GEN3 SUV」はどうだ?

GEN3 ウエットブレーキ1
閉鎖空間でウエットブレーキのテストを行った

SUV用のオールシーズンタイヤ「ベクターフォー シーズンズ GEN3 SUV(以下、「GEN3 SUV」)」は、前作になる「アシュアランス ウェザーレディ」との比較です。指定速度は同一でテスト車両はトヨタ・ハリアーです。

3回走行の平均は「アシュアランス ウェザーレディ」が20.0m、「GEN3 SUV」が18.2mと9%減。減速ピークGは0.8Gと0.9Gと「GEN3 SUV」が0.1G高く発生していました。

計測器
計測器はGPSを利用したもの。70km/hで進入しフルブレーキ。60km/hから停止までの距離が計測される。文中の計測距離は3回計測の平均値

2世代の進化とはいえ、ウエットの制動距離が10%程度短くなるというのはかなりの進化と言えます。ウエットブレーキングでも氷上試乗のときに感じた初期制動力の立ち上がりのよさもあり、やはり強い制動力を感じられました。

GEN3ノイズ性能
グッドイヤーのテストによる騒音値の計測

乗用車用「GEN3」「GEN3 SUV」ともに先代モデルに比べるとずいぶんとノイズ面では静かになっています。

しかし、V字トレッド採用ならではの弊害として、ステアリングを切った際のノイズはどうしても大きくなりがちです。とくに「GEN3 SUV」は「アシュアランス・ウェザーレディ」との比較となるため、操舵時ノイズの増大が目立ちます。

とはいえ、直進時はどちらも静かになっているので、この部分は目をつぶりましょう。ステアリングは切っているときよりも、直進状態のほうがずっと長い時間使うのですから。

●一般道テストはシビックとベルランゴで

シビックとGEN3
シビックによる一般道の試乗では、一般的なサマータイヤと同レベルの性能が確認できた

一般道ではホンダシビックで乗用車用「GEN3」を、シトロエン・ベルランゴで「GEN3 SUV」を試乗しました。どちらもしっかりとしたフィーリングを感じることができましたが、とくに「GEN3 SUV」はケース剛性がしっかりしている印象です。「GEN3 SUV」はタイヤトレッド内部にあるベルトと言われる構造体が乗用車用「GEN3」よりも1枚多く設定され、剛性をアップしていることに由来します。

GEN3パターン
先代ではセンターにリブパターンが配されたが、ベクター フォーシーズンズ GEN3ではそれを廃止し、排水性を向上している
ベルランゴ+GEN3 SUV
ベクター フォーシーズンズ GEN3 SUVを履いたベルランゴ。ケース剛性の高さを確認できた

乗用車用「GEN3」はセンターリブを廃止することで、排水性をアップしていますが、この弊害でしょうか? 若干ながらステアリング中立付近の安定感が落ち、ゆるい印象を受けます。

乗用車用「GEN3」は「ベクター フォーシーズンズ ハイブリッド」からの変更なのでその差は少なめですが、「GEN3 SUV」は中立感のよかった「アシュアランス・ウェザーレディ」からの変更のため、ちょっと目立つ印象があります。

GEN3 耐久性
耐摩耗性は30%向上。オールシーズンタイヤの雪道性能はスタッドレスタイヤと同様に残り溝50%となっている

また、どちらもセルフアライニングトルクは増えていて、そのぶんの運転しやすさは増しているといえます。この中立あたりの特性は非常に微妙で、レーンキープアシストにも大きく影響します。どちらかというと中立付近の保舵力はゆるめのほうが、レーンキープアシストが働いた際のクルマの動きに節度があると感じています。

「ベクター フォーシーズンズ GEN3」と「ベクター フォーシーズンズ GEN3 SUV」の夏タイヤとしての性能は、従来の夏タイヤと遜色のないレベルにまで引き上げられていて、まさにスノー路面も走れる夏タイヤに仕上げられているといっていいでしょう。

ベクター フォーシーズンズ GEN3のバリエーション
ベクター フォーシーズンズ GEN3 SUVのバリエーション
ベクター フォーシーズンズ GEN3 SUVのバリエーション

(文:諸星 陽一/写真:小林 和久)

この記事の著者

諸星陽一

諸星陽一 近影
1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想のクルマ生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。