「癒し顔」のホンダ フィットが8月にマイチェン。販売テコ入れで「RS」も登場

■4代目(現行)フィットの販売状況

モデル末期においても平均6000台/月以上を販売していた先代ホンダフィット」。

現行ホンダ フィットのフロントビュー

一方、現行モデルは2020年2月に発売後、早々に販売計画台数(1万台/月)を割り始め、翌2021年には計画の半数に満たない状況となり、今年に入っても同様な状況が続いています。

トヨタ アクアや日産ノートといったライバル車が安定して8000台/月前後を販売するなか、苦戦を強いられている状況。

先代までの歴代フィット

フィットは2001年に初代モデルが登場後、2007年発売の2代目、2013年発売の3代目ともに、スポーティなエクステリアデザインやコンパクトながらも広い室内空間、多彩なシートアレンジ、優れた環境性能などが好評で、世界各国で販売されるグローバルモデルとして成長を続けて来ました。

現行ホンダ フィットのサイドビュー

ところが2020年2月発売の4代目となる現行フィットでは、それまでのデザイン路線を一転。

歴代モデルの開発コンセプトを継承しつつも、潜在的なニーズが存在するとして開発テーマに“心地よさ”の創出を掲げ、ホンダならではの技術で「癒し」を具現化したと言います。

現行ホンダフィットのインテリア

具体的には、クルマの顔であるフロントマスクに愛犬のように親しみやすい表情を導入するとともに、フロントピラーの断面縮小により前方視界を改善。長距離ドライブでも疲れ難いシートや、力強い走りに寄与する2モーター式ハイブリッドシステム「e:HEV」などを採用しています。

●従来からの路線変更による市場の反応は?

現行ホンダフィットのリヤビュー

恐らくホンダのデザイナーはエクステリア・デザインにおいて、近年のトヨタ車などに見られる「精悍さ」や「迫力」を前面に出すのではなく、開発テーマである「癒し」の表現にあたり、愛着の湧くデザインを目指したものと思われます。

そのスタンスは新型ステップワゴンにも受け継がれており、さらにはシビックにおいても国内市場より遙かに多くの販売台数が見込める米国に販売の主軸を移したことで、車体がより大きく見える角張ったデザインを採用するなど、歴代モデルとは異なる方向性を打ち出しています。

ただ、現行フィットの販売が国内市場で足踏みしている状況を考えると、必ずしも「癒し」に振ったフロントマスクのデザインが既存のユーザーに受け入れられているとは言い切れないようです。

●マイナーチェンジでデザイン変更&スポーツグレード「RS」追加

8月にマイチェン予定のホンダ フィット(筆者予想)

そうしたなか、各種情報によるとホンダは8月にフィットのマイナーチェンジを予定している模様。

ラジエターグリルやフロントバンパーのデザイン変更に加え、タイヤのインチアップや新意匠のアロイホイール採用、車室内の遮音性向上やシート表皮を中心としたインテリアの質感向上を図るようです。

3代目ホンダフィットに設定された「RS」

さらに先代モデル(2代目/3代目)に存在したMT仕様の「RS」グレード復活も予定している模様。

ちなみに、国内市場ではこれまでのドイツ車に加え、プジョーやルノー、シトロエン等のフランス車にも日本人好みのデザインを採用したモデルが増えており、ユーザーの“クルマを見る目”が従前よりも肥えているため、車両が高性能であっても、「エクステリアデザインの良し悪しが販売台数に直結する」と言っても過言ではない状況になっています。

その傾向はコンパクトカーに限らず、クラウンのような上級モデルにも当てはまります。

こうした市場動向から、今後ホンダが国内販売強化に向け、いかなる戦略をとるのかが大いに注目されます。

Avanti Yasunori

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ホンダ フィット
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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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