ホンダセンシングのオートハイビームを使ってみた!購入検討者に贈る、最新フィット試乗記その3/夜間ライト編【新型車ねちねちチェック第3弾】

■夜間走行でライト性能を検証する

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ライトの性能を高速道路で試してみた

前回は主にフィットの車両概要と走りについて述べてきました。

今回は、他のメディアではあまり語られない、ライトの性能について、夜の高速道路を走りながら確認してきました。


●現代的な造形を持ちながらも、機能はシンプル型のLEDランプ

フィットのフロントランプは、従来のスモールランプ兼用のデイタイムランニングランプ(昼間はスモールよりも明るく点灯する)、プロジェクター式のハイ/ロー、そしてターンシグナル(方向指示灯)、すべてがLED式の光源で構成されており、HOMEと今回の試乗車LUXEには、LEDフォグランプがフロントバンパーに備えられています。

フィットのフロントフェイスに難色を示す声を聞きますが、それはプロジェクターレンズの「ギョロ目感」に伴うものでしょう。否定派でも肯定派でもない筆者も確かに「ギョロ目感」を抱きはしますが、グリルレス風の顔であることもあり、駐車場では何だか自分を待ってくれている、すっとぼけ顔の犬のようにも見え、筆者は「愛らしくていいんじゃないの」と見る中立派でいます。「ギョロ目」に抵抗があるひとは、唯一マルチリフレクター式ハロゲンライトが残されているガソリン車のBASICを選ぶのがいいでしょう。

full led head light with text
いまやフォグランプまでLEDだ

ランプの配列については写真のとおり。

一体化されたランプの下2/3を車幅灯兼用のデイタイムランニングランプがぐるりと囲い、その内側にプロジェクターランプが設置されています。この2つを上から横長のターンシグナルがふたをするという構成。筆者は常々LEDランプが素子切れを起こしたときの補修費用の高さを問題視しているのですが、それを忘れて「明るさ」という機能面だけを見ればハロゲンよりもLEDのほうが優れているに決まっています。


●最新オートライトの働き

新型フィットは昨年2月の発表時点で、今年2021年10月の新オートライト規制完全義務化を先取りして新型オートライトを全機種標準化。国産各社もここ数年前から、従来のオートライトとは働きが異なる新オートライトに替えてきていました。

新規制の内容を端的にいってしまえば、「夜間走行時は必ずライト(この場合ロービーム)が点灯する構造でなければならない」というものです。したがって、「走行中」は、ドライバー任意でライトを消すことはできず、きょう新車を買ったらまちがいなくこの方式のライトがついてきます(停車中はOFFにできます)。

wiper switch lever
ライトスイッチのポジション構成は、「OFF-スモール-AUTO-ヘッド」という独特なもの

フィットのライトスイッチポジションはOFF-スモール-AUTO-ヘッド。国産他車には「OFF」と「スモール」がまとめられたり、「OFF」が廃止されたりという変化がありますが、ホンダ版は旧オートライト時代からのこの並びを継承しました。独特なのは「AUTO」が「スモール」と「ヘッド」の間にある点で、これなら夜昼問わず、そして夜に「AUTO」にしたかろうが点灯固定にしたかろうが、点灯順序は必ず「消灯→スモール→ライト点灯」…旧時代他社の「OFF-AUTO-スモール-ライト」ではどうしても避けられない、わずかな間のライト点消灯をかわせる配列になっていたのです。ときに高速道路や山間道で出くわす短いトンネルが連続する区間では、トンネル出入りのたびのライト点消灯がドライバーにもライトにもストレスになるため、いっそ点けっぱなしのほうがライトのためにもいいのですが、旧オートライト時代からホンダ式配列を見るたび、「この順序を考えたホンダのひと、頭いい!」と密かに思っていたものでした。

従来の並びのまま変わったのは、起点が「OFF」から「AUTO」になったことで、夜間ならパワースイッチONにするやライト点灯、「AUTO」から向こうまわしで「ヘッド」固定。手前1段まわし「スモール」で車幅灯、停車中の2段まわしで消灯。手前1段2段は、手を放すと内部のばねじかけで「AUTO」に戻る・・・「AUTOありき」たるゆえんです。

夜の高速道路では、自動ハイビームの確実性を確かめました。フィットの自動ハイビームは、単にハイとローを切り替えるだけの簡易的なもので、前回採り上げた「Honda SENSING」に内包される機能です(「オートハイビーム」)。

auto high-beam indicator
オートハイビーム表示灯(赤丸)

オートハイビームのシステムは、次の5つを満たしたときに「オートハイビーム表示灯」が点灯し、待機状態となります。

・パワーモードがON。
・ライトスイッチ位置が「AUTO」。
・ウインカーレバーがロービームの位置である。
・ヘッドライトが自動点灯している。
・車両の周囲が暗い。

そしてローからハイ、ハイからローへの切り替わりの具体的な作動条件は次のとおりです。

★ロー→ハイ
以下の条件をすべて満たしたとき、ローからハイに自動切り替え

・車速が30km/h以上。
・前方にライトを点灯した車両がいない。
・前方に街灯などの光が少ない。

★ハイ→ロー
以下の条件のいずれかを満たすとハイからローに自動切り替え

・車速が24km/h以下。
・前方にライトを点灯した車両がある。
・前方に街灯などの光が多い。

夜間、ライトを点灯する先行車や対向車、街灯が混在するシチュエーションでは、過去に経験した自動ハイビームのクルマ同様、理想的なハイ/ロー切り替えは行われませんでした。これは予想どおりのことで、いままでなら「実用性からはほど遠く、役に立たない」と書いたところです。しかしそのいっぽうで、世の中には先行車や対向車の存在に応じてハイビームの照射範囲を変化させるアダプティブ式(以下、AHS)があります。

シームレスに照射エリアを変えるタイプは、いまのところホンダではシビックが搭載するのみで、自動運転レベル3を実現しているレジェンドにさえ未搭載ですが、他社ではだいぶ広がってきている技術です。周囲の様子を読み取ってずいぶん賢く照射範囲をコントロールするし、おそらくシビックのライトも有能だと思いますが、これらを見て思うのは、ただのハイ/ロー切り替えにとどまる自動ハイビーム車も、周囲状況の把握だけはAHS車並みの正確さで把握できているのではないかということです。

AHSはハイからローまで、見かけ上無段階に照射エリアを決められるだけに、ハイで周囲に幻惑を与える環境ではハイ以上ロー未満の光を照射することができます。いっぽうのハイ/ロー2段切替式は、ローとハイの2つしか選択肢がない以上、周囲にわずかな光でも検知してしまったら当たりさわりのないローを選び続けるしかない…これを筆者は「実用性に乏しい」としていたのでした。とすると、ハイ/ローの2段式は、シンプル機構&低価格ではあっても、2段式である限りはAHS並みに緻密な制御をさせるのは不可能で、いっそAHS制御ユニットを規格化&低価格化して普及させるほうが得策のように思えます。

長い目で見たとき、2段式の自動ハイビームは過渡的なもので、やがてはシームレスなAHSタイプに集約されていくことでしょう。実際、少しずつ軽自動車にまで現れ始めているし、そう遠くない将来、このフィットも他のホンダ車もAHS式にシフトしていくような気がします。

auto high-beam low
前走車がかなり遠くでもめざとくその存在をキャッチし、ロービームを保つが…
auto high-beam high
前走車がカーブの向こうに消えるや、即座にハイビームに! 道路照明が皆無となる地方の高速道路では正確に作動する

と、長々書きましたが、このフィットの自動切り替えも、周囲の把握は正しく行われており、街灯が減って真っ暗闇に近くなる高速道路上では、周囲にクルマがなくなるや、即ハイビームに切り替わるものでした。明るさは従来のHIDと同等か、HIDプラスαといったところですが、不足を感じることはないでしょう。

さて、夜間走行時、自転車や歩行者がいさえしなければ街灯が灯っていてもハイビームにしたくなるシーンも多いと思います。街灯の誤認識? で自動でハイにならない場合、次の方法で手動切り替えができるようになります。

★レバー操作の場合

・レバーを手前に引いた後すぐに手を放す(要するに従来のパッシングと同じ操作)。
(オートハイビーム復帰は、再度パッシングと同じ操作をするか、レバーがロービーム位置のとき、ライトスイッチをいったん「ライト」にしたあと「AUTO」に戻す。)

★ライトスイッチの場合

・ライトスイッチを「ライト」にする。(オートハイビーム復帰は、レバーがロービーム位置のとき、ライトスイッチをいったん「ライト」にしたあと「AUTO」に戻す。)

これらを行うことで「オートハイビーム表示灯」が消灯、従来のクルマと同じ操作ができるようになります。

●素性がいい配光のフォグランプ

the efficacy of the fog lamp left
フォグランプの光は、三角窓からの視野をも照らしてくれる。コーナーリングランプ機能を与えればグンと機能的になるフォグランプだ。写真は左がわ
the efficacy of the fog lamp right
こちらは右がわ。ドライバーサイドだけに、こちらのほうが効果がわかりやすい

もったいないと思ったのがフォグランプです。写真を見てみてください。検証のため、フォグランプを点灯させたのですが、車両直前を照らすのはもちろんのこと、例の三角窓から見える車両サイドをも照らしていることがわかります。

かつて世の中にはウインカー点灯と同時にサイドを照らす「コーナーリングランプ」というものがありました。2世代前のワゴンRなどは、側方照射の機能をフォグランプと兼用させ、ウインカーを灯した側のフォグを点灯させてコーナーリングランプにしていたくらい。このフィットのフォグランプはせっかく照射範囲が広いのですから、消灯時でもウインカー点灯時だけ、点灯側フォグランプを灯してコーナーリングランプ化させれば、夜間の右左折時の進入先がより見やすくなり、三角窓の大きさがなお活きることまちがいないでしょう。

LEDランプが広まり始めてからしばらく経ちましたが、LEDゆえの改善を望みたい点があります。フィットに限らないのですが、LEDの「ビカッ!」「パッ!」という、あの一瞬の点消灯は、人間の目には生理的に刺激が強すぎて合わないと思います。従来のフィラメントを模して、あるいはドアを開けたときの最近のクルマのルームランプのように、点消灯に対してディレイ(遅れ)を与え、じわっと点いてじわっと消えるという制御を加えてほしい。そのほうが見る目に優しいのと、いまの「ビカッ!」「パッ!」は、何かの合図でパッシングしても、パッシングを与えた方も受けた方も何かの合図という実感が乏しいように思います。

もうひとつは、エンジンスイッチorパワースイッチON直後はスモールにとどめ、シフトをDに移すか、D+走行開始の時点で点灯させるのでもいいのではないかということです。現在は最新オートライト法規を忠実に守ろうとしているため、ONにするやいきなりライトが点灯しますが(旧オートライトでも点灯しましたが。)、ときにはスーパーから出てくる奥さんを待つのに、先にクルマに乗り込んでヒーターを効かせておくという場面では、エンジン始動後にわざわざ消すという操作をしなければなりません。中にはそれを忘れて点けっぱなしにするひともいるわけで、そのへんをもうちょい煮詰めてくれるとありがたい・・・

●ガソリン車とe:HEV車とでは点灯様式が異なるリヤランプ

rear combi lamp
ターンシグナルとリバースランプだけは電球。他はLEDで、LED素子切れを起こしても、オーナーはおろか、販売店でも単体の交換はできない。ランプユニット全体の交換となる。

リヤランプにも触れておきましょう。夜間の点灯の様子は写真のとおり。スモールランプはボディ側、ハッチゲート側、合わせてU字型に光りますが、ガソリン車のスモールランプはボディ側のみ。ストップランプはスモールとは別建てでボディ側に、その上がウインカー。リバースランプはハッチ側に設けられています。内、ウインカーとリバースはオーナー自身で交換可能な電球式で、ほかはハイマウントストップとナンバー灯を含めてLED。リフレクターはリヤバンパーに置かれ、リヤフォグランプはメーカーオプション、販社オプションにも設定はない模様です。

illumination at night with text
こまかいところにまで照明が与えられるようになったものだ

室内の夜間照明の写真も撮っておきました。これも販売店レベルの試乗車ではじっくり見る機会はないでしょう。細かなところにまで照明が与えられ、夜間での見映えは高級車並み? になりました。天井のルーム&マップランプのスイッチにまで照明が与えられたほど。

フロントランプにリヤランプ、室内夜間照明の写真を、文中には限定的に載せましたが、他の部位の写真も細かく撮っておきました。興味のある方は画像ギャラリーへ。フィット購入を検討中の方は参考になさってください。

(文/写真:山口尚志


【試乗車主要諸元】

■ホンダフィット LUXE FF e:HEV(6AA-GR3型・2021(令和3)年型・電気式自動無段変速機・ミッドナイトブルービーム・メタリック)
・メーカーオプション:Honda CONNECTディスプレー+ETC車載器、プレミアムオーディオ
・ディーラーオプション:ドライブレコーダー、フロアカーペットマット

●全長×全幅×全高:3995×1695×1540mm ●ホイールベース:2530mm ●トレッド 前/後:1485/1475mm ●最低地上高:135mm ●車両重量:1210kg ●乗車定員:5名 ●最小回転半径:5.2m ●タイヤサイズ:185/55R16 83V ●エンジン:LEB(水冷直列4気筒DOHC) ●総排気量:1496cc ●圧縮比:13.5 ●最高出力:98ps/5600-6400rpm ●最大トルク:13.0kgm/4500-5000rpm ●燃料供給装置:ホンダPGM-FI(電子制御燃料噴射) ●燃料タンク容量:40L(無鉛レギュラー) ●モーター:H5(交流同期電動機) ●最高出力:109ps/3500-8000rpm ●最大トルク:25.8kgm/0-3000rpm ●WLTC燃料消費率(総合モード/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):27.2/26.5/29.6/26.0km/L ●JC08燃料消費率:35.0km/L ●サスペンション 前/後:ストラット式/車軸式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク ●車両本体価格242万6600円(消費税込み・除くメーカー/ディーラーオプション)

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