なぜ軽自動車は黄色ナンバー? 意外と知らないナンバープレートの種類

■白は普通車、黄色は軽自動車…なぜ2色に分かれているのか?

軽自動車
軽自動車のナンバープレートはなぜ黄色なのか?

毎日、何気なく目にしているクルマのナンバープレート。白、黄色、緑、黒と多様な色がありますが、ナンバーがどのような基準で使い分けをされているのか、ご存知でしょうか。また、なぜ軽自動車のナンバープレートは黄色になったのでしょうか。

一日一度は目にする、ナンバープレートの種類や謎に迫っていきたいと思います。

●ナンバーの色で何がわかるの?

日本でナンバープレートを使う制度が始まったのは1907年(明治40年)です。元々はアメリカで自分の馬車を示すために始まったのがナンバープレート制度と言われており、日本導入当時は、各自が手書きのナンバープレートを用意していました。

ナンバープレート
日本のナンバープレートの歴史

現在のようにプレートの形式で装着する必要は無く、クルマに直接ナンバーを書き込む人もいたようです。この時代のナンバープレート表記は数字だけの5桁で、現在のような地名やひらがなの表記はありません。

白ナンバー
普通自動車と小型自動車の自家用・商用に使われる。事業用は、文字と下地の色が反転

ナンバープレートで最もよく見かける色は、白地に緑色の文字が記載されたものでしょう。自家用・商用の普通自動車・小型自動車に採用されるナンバープレートです。自家用・商用の軽自動車には、黄色地に黒色の文字が記載されたナンバープレートが使われています。

バスやタクシー、一般貨物自動車運送事業車(金銭が生じた上で他人の物を、車両を使用し運送する事業)は、普通自動車・小型自動車・軽自動車を問わず、事業用を示すナンバープレートの装着が必要です。自家用・商用のナンバーと、地と文字の色が反転したナンバーがこれに当たります。普通自動車・小型自動車では緑地に白文字、軽自動車では黒地に黄色文字です。

ナンバープレート
ナンバープレートの表示例

クルマの大きさで分けられている区分を明確に示し、どのような用途で使われているのかを外へ発信するのが、ナンバープレートを装着する意味となります。それぞれの色の違いで、どのようなクルマで、どう使われているのかがわかるということですね。

●軽自動車が黄色ナンバーになった理由

黄色ナンバー
軽自動車を示す黄色ナンバー。車種判別がしやすい一方で、ユーザーからは不評な一面もある。

普通自動車や小型自動車と軽自動車を区別するために、黄色ナンバーが採用されたわけですが、これには軽自動車を瞬時に見分けなければならない理由があったためです。

ひとつは2000年9月まで採用されていた、高速道路での速度制限の違いにあります。

高速道路におけるクルマの法定速度は100km/hです(大型貨物やトレーラーなどは80km/h)。一部区間では、この上限速度が120km/h、あるいは全車80km/hとなっていることがあります。現在では普通自動車・小型自動車・軽自動車で、制限速度は同じですが、2000年9月以前は、軽自動車の高速道路における制限速度は80km/hとなっていました。

制限速度に区分けがあり、警察がそのクルマを普通車なのか軽自動車なのか、瞬時に見分ける必要があったため、軽自動車のナンバーは普通車とは異なる目立つ黄色地に黒色の文字が採用されたというわけです。

もう一つの理由も高速道路が絡んでいます。現在はETCの普及で、自動的に高速道路利用料が支払われることが多いですが、ETC導入前は、全てのクルマの通行料金を出口の係員が清算していました。

ETC
ナンバーの色分けは、高速料金支払いを円滑に行うためにも必要な措置だった。

普通自動車・小型自動車と軽自動車では、高速道路の通行料金が異なります。軽自動車の方が、料金が安く済むのです。出口の係員は瞬時に入ってくるクルマが普通車なのか軽自動車なのかを見分ける必要があり、こうした観点からも、軽自動車のナンバープレートを、普通車と大きく違うものとしたと言われています。

●軽自動車でも白地に緑文字のナンバーにできた時期がある

日本でビッグイベントが開催される際に、特別仕様のナンバープレートが発行されることがあります。これまでに、ラグビーワールドカップ2019を記念したものと、東京2020オリンピック・パラリンピックを記念したものが発行されてきました。

オリパラナンバープレート
オリンピック・パラリンピック記念の白地軽自動車用ナンバープレート

これら特別仕様のナンバープレートでは、黄色地のナンバープレートが用意されず、軽自動車でも白地に緑文字のナンバープレートを装着することができたのです。こうした軽自動車用の白ナンバーは大人気で、それぞれの特別仕様ナンバープレート交付件数の7割以上を軽自動車が占めました。

現在、高速道路の最高速度は軽自動車も普通車と同じになり、高速道路の料金はETCで支払われることが多くなったため、この特別仕様ナンバープレートでは黄色地のモノを作らず、統一感のあるデザインでまとめたようです。また、このナンバープレートを装着していても、普通車と軽自動車を見分けるポイントは2つあります。

一つ目は、後ろのナンバープレートに封印が装着されているかどうか。普通車は封印がありますが、軽自動車には封印がありません。二つ目は地域名の隣にある3桁の数字の下2桁で見分けます。80~99までの番号になっているクルマが軽自動車です。(例:品川580)

この特別仕様ナンバープレートは、現在は発行を終了しています。オリンピックやワールドカップクラスのイベントが、再び日本に誘致された時には、新たな形で特別仕様ナンバープレートが登場するかもしれません。

●まとめ

ナンバープレート
軽自動車のナンバープレートが黄色い理由

ナンバープレートの色分けには、法律や料金制度が大きく関わっていました。こうしたアナログに管理されていたものが、デジタルに変わりつつあり、一時的にではありますが、軽自動車が白ナンバーを付けることが許されたということにもなります。

まだしばらくは白と黄色のナンバーが存在しますが、軽自動車の性能は年々高まり、普通車と遜色が無くなってきました。軽自動車という枠が見直され、黄色ナンバーが消滅してしまう未来が、来るかもしれません。

(文:佐々木 亘

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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