トヨタ新型アクアの良いトコも「なんだコリャ」なトコも清水和夫がズバッと指摘!「高速飛ばすほうが良さは光るかも!」

■トヨタ新型アクアに次期プリウスが見える?清水和夫がじっくり味わってみた

●アクア=水だから、夏の海辺へドライブ!

清水和夫
海大好き、アウトドア大好きな国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが新型アクアを厳しくチェック!

「アクアはラテン語で『水』。ってことで夏の海辺、鎌倉に来ました。海と山と神社仏閣と。なんかイイ感じです」(清水)。

2021年7月に発表されたトヨタ新型アクア。1.5L 3気筒ダイナミックフォースエンジンに前後モーターを合わせたハイブリッドです。ホイールベースを50mm広げたことで、室内空間が広々です。

新型アクア
新型アクアを湘南~鎌倉ドライブがてらチェックしてみた

では、トヨタのファミリーカーのデフォルトになる?新型アクアに試乗した、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんのインプレッション、まずは動画でドーゾ!

●室内はカローラ並みの広さ、電池は新バイポーラ型で小型化

アクアの位置するところはどこなのでしょう?

「今までアクアはハイブリッド専用車としてヴィッツ/ヤリスの下…みたいな感じがあったけど、新型アクアはヤリスのプラットフォームを使ってホイールベースを伸ばし、ヤリスのちょっと上の位置にきましたね。後席に座るとホイールベースが長いのでゆったりしていて、ヤリスよりアクアのほうが良きファミリーカーとしては使いやすいだろうね。

新型アクア
今回清水さんが試乗した新型アクアは、グレード=Zの2WD

パワートレインは1.5Lのダイナミックフォースエンジンのハイブリッドだから、これは次のプリウスと言われても違和感ないかな」(清水)。

旧型と比べるとどう変わっていますか?

「新型アクアは幅も広い。この幅だけ見るとカローラみたいで、昔のアクアというイメージじゃないね。室内の質感も良くなっているし。

新型アクアのコクピット
新型アクアのコクピット

そうそう、センターに位置する車載のカーナビを無くし、ついにこの場所をあけ渡しましたね(オプション装着は可能)。スマホをくっつけてグーグルを見る、というバージョン。ココを明け渡したというのは、自動車メーカーにしてみたらかなりの英断だったかな?という気がする。今までココでかなりのお金を稼いでいたからね」(清水)。

小型化が可能となるバイポーラ型電池に変わったそうですね!

「従来からあるニッケル水素電池ではなく、新しいタイプの高出力なバイポーラ型ニッケル水素電池です。バッテリーはなにもリチウムだけではなくて、このニッケル系も20年、30年の長い歴史がありますから、信頼性と安全性においてはリチウム以上のものがあるわけ。コレが進化するというのもいいと思いますね。

通信で言えばみんな5Gって言うけど、4Gも進化すれば5Gにいかなくても…というのと同じような状況ではないかと」(清水)。

●年寄り向けに文字を大きくして! HMI的にもどーかと思うよ

室内空間が広がり、よりファミリー層にも喜ばれそうな新型アクア。しかし、清水さんが「オイ、ちょっと!」というところはありますか?

清水和夫
あ~!? 文字がちっちゃくて見えね~なぁ! HMI的にもよろしくないですね

「ADAS(Advanced Driver Assistance Systems/先進運転支援システム)をセットするときの2スイッチは、メルセデスのようにワンクリックでやって欲しいな。

それと、ADASの速度設定をしようとすると…文字が小っちゃくて見えない! Dレンジとかスピードメーターの数字は大きいけど、メーターの真ん中に出るADAS系の文字が小っちゃい! 高齢者のためにもうちょっと文字を大きくして欲しいね。これはHMI(ヒューマン マシン インターフェース/機械[システム]と人間が相互にやりとりできる仕組み)的にはダメだな。そこはちょっと考え直してもらいたいね」(清水)。

清水さんならではのポイントですね!

新型アクアのサイドビュー
新型アクアのサイドビュー

「それと、加速性能とかブレーキ性能はいいんだけど、40~50km/hくらいの低速で、コツコツコツって、タイヤが石みたいに固い感じがするし乗り心地もちょっとね。もっとしなやかにできないのかな~と思います。ヤリスもウェットの時、ビックリするくらい悪かったんだけどアクアも実際にテストしてみないとね。まぁでもこの乗り心地から推測すると、まだ低転がりやってるのかな」(清水)。

●飽きられたプリウスに変わり、アクアが新しい時代のファミリーカーになる?

同じハイブリッドのプリウスとの関係?はどうなのでしょう。

清水和夫
このアクアが新しい時代のファミリーカーになると思うね(清水)

「プリウスももう30年だから、ひとつの時代を築いて、その役割が終わったという感じがする。そこから発生してきたハイブリッド技術のこのアクアも、先代をもってひとつの時代を終わらせた。名前はアクアを継承しているけど、新しい時代のよきファミリーカーになったよね。逆にヤリスのほうはホットハッチを目指しています。プリウス・イーターとして、強いプリウスのライバルが登場したなという感じ」(清水)。

街中で活躍するファミリーカーっていうことなのですか?

「意外なことが分かったのは、今日は試していないけど多分、このクルマはスピードを出せば出すほど良いクルマだと思う。逆に、低速はタイヤがカチカチ固いっていうのと、ホイールベースが50mm伸びているのでUターンしようと思ったら縁石ギリギリだったとか。このホイールベース、パッケージ的にはいいんだけど、ドライバビリティ的にはちょっと気を付けて乗らないと縦列駐車、車庫入れが一発でいかないかも。4WS使えとまではいわないけど、もうちょっと小回りできるように、フロントのタイヤの切れ角をもちょっと工夫するとか、もうひと踏ん張り工夫が必要かなという感じがするね。

新型アクアのエンジン
1.5L 直3+ハイブリッドの新型アクア

まぁ1.5Lのダイナミックフォースエンジンはハイブリッドとの相性もいいので、これはもうポスト・プリウスかな?という気もちょっとしました」(清水)。

(試乗インプレッション:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

新型アクア
新型アクアの主なスペック

●SPECIFICATIONS
車名:トヨタ アクア Z(2WD)
全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm
ホイールベース:2600mm
トレッド F/R: 1480/1475mm
車両重量:1130kg
エンジン:直列3気筒
総排気量:1490cc
ボア×ストローク:80.5×97.6mm
最高出力:67kW(91ps)/55000rpm
最大トルク:120Nm(12.2kgm)/3800~4800rpm
フロントモーター 最高出力:59kW(80ps)
フロントモーター 最大トルク:141Nm(14.4kgm)
リアモーター 最高出力:4.7kW(6.4ps)
リアモーター 最大トルク:52Nm(5.3kgm)
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:前輪駆動
最小回転半径:5.2m
乗車定員:5名
サスペンション F/R:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ F/R:ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング式ドラム
燃費消費率(WLTCモード):33.6km/L
車両本体価格:2,400,000円

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【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

トヨタ自動車 アクア
https://toyota.jp/aqua/?padid=from_tjptop_menu_aqua

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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