ユーノス プレッソは力まず汗をかかず、仲間と乗る個性派V6スポーツクーペ【ネオ・クラシックカー・グッドデザイン太鼓判「個性車編」第13回】

■ユーノス専売モデル第3弾、ユーノス プレッソを深掘り!

●単なるファミリアクーペにはしない

80~90年代の日本車のうち、チョット変わった個性派のデザインを振り返る本シリーズ。第13回は、クルマ好きで趣味性の高い独身男女をターゲットとした、和製イタリアンスポーツクーペ、ユーノス プレッソに太鼓判です。

プレッソ・メイン
Bピラーが個性的なウエッジボディ

多チャンネル化により、ユーノスブランドを立ち上げたマツダは、「ロードスター」と「コスモ」に続くユーノスチャンネル専売ブランド第3弾を計画。1991年、小型V6エンジンを搭載したスポーツクーペとして登場したのが、イタリア語で「仲間」を表すプレッソです。

ファミリアをベースとしながら、単なるそのクーペ版を避けたボディは、2+2として4人の乗車が可能なパッケージを模索。基本をウエッジ調としつつ、高いリアエンドを持った独自のスタイルを実現しました。

プレッソ・リア
高いリアエンドが居住性のよさを表現

そのウエッジボディの先端となるフロントは、当時のマツダ車に共通する「ファニーフェイス」を思わせ、非常に愛らしい表情に。これは、遠くから走って来る際の識別性も意識されたものといいます。

サイドビューの特徴は、まずバンパーラインで上下を大きく分けた2段構造。シンプルな下半身でしっかり安定感を出し、上屋で特徴をアピールします。とりわけ曲線で構成されたBピラー回りは、往年のイタリアンスポーツを意識した点がよく表れています。

また、後席の居住性を確保する高いリアエンドは、広いガラスハッチとすることで重さを感じさせません。一方で、豊かなショルダー面はリアフェンダーと融合し、ウエッジボディをしっかり受け止めるボリューム感を得ています。

プレッソ・インパネ
一部アスティを流用したインパネは適度なスポーティさ

リアは結構な背の高さですが、厚みのあるバンパーがそれをうまく吸収。さらに、サイドまで回り込んだ横長のランプと、これを結ぶリアハッチのドアラインが、スリムなイメージを一層強調しています。

●スポーティさはほどほどに

インテリアは、インパネの一部を「アスティ」と共有しますが、それが適度に落ち着きのあるスポーティさに。また、ホールド性は確保しつつも、丸形をモチーフとした柔らかなシート形状が、決して走り志向ではない同車の性格を物語ります。

プレッソ・シート
丸型をモチーフとした個性的なシート

開発当初、ファミリアのクーペ版に止まっていたデザイン案は途中で仕切り直しになったといいます。そのこだわりが、このイタリアンなスポーツルックを生み出したようです。

「車志向で個性的な独身男女」という「濃い」ターゲットも、そんなマツダらしいこだわりの表れ。考えてみれば、そうした難儀な狙いは、現在のマツダにも継承されているように思えます。

■主要諸元 Fi-X(5MT)
形式 E-EC8SE
全長4215mm×全幅1695mm×全高1310mm
ホイールベース 2455mm
車両重量 1130kg
エンジン 1844cc V型6気筒DOHC 24バルブ
出力 140ps/7000rpm 16.0kg-m/5500rpm

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし

すぎもと たかよし 近影
東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、クルマも最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。