ブリヂストンが東京都内に作るタイヤテストコースとは?【Bridgestone Innovation Gallery・詳細報告】

■世界一大きなタイヤから懐かしの自転車ロードマンまで

既報のとおり、ブリヂストンは東京都小平市にある開発製造拠点を整備し再構築中です。当初、記事を作成している時点では入手できていなかった、全体像のイラストが手に入ったので紹介します。

BSイノベーションギャラリーエントランス
イノベーションギャラリーのエントランス

イラストの中央に位置するのが今回リニューアルを済ませた企業博物館の「Bridgestone Innovation Gallery」で、その左側には見事なテストコースが描かれています。

地図アプリで計ってみるとストレートは400mありそうな雰囲気。もちろんこのコースはタイヤ開発のためのテストコースですが、都内にこうしたテストコースが作られるのはなかなか興味深いことです。

ブリヂストンもかつてはこの小平にテストフィールドを持っていたということですし、日産も村山テストコースが存在していました。さらにその前には東村山市に日本初の自動車テストコースである東村山自動車試験道路が存在していたのですから、東京多摩地区は日本の自動車開発には馴染み深い場所と言ってもいいでしょう。

旧東村山自動車試験道路
1974年の航空写真には東村山自動車試験道路のテストコースが確認できる。 出典:国土地理院ウェブサイト/編集部にてトリミング済み

タイヤも魅力ですが、筆者が心を惹かれたのが自転車(スポーツサイクル)のロードマンでした。ロードマンは1974年~1999年まで製造された自転車ですが、1963年生まれの筆者がちょうど小学校高学年のときに登場し、あこがれの的であったモデルです。

当時、週刊少年漫画誌の表4(裏表紙)には、必ずといってほどロードマンの広告が載っていました。結局、ロードマンは買ってもらえず、近くにあった自転車問屋で扱っていたミヤタのジュネスを手に入れたのでした。

●クルマ用だけではないブリヂストンの市販タイヤいろいろ

Sイノベーションギャラリー 巨大タイヤ
エントランスに置かれた世界最大級のタイヤ
Sイノベーションギャラリー ポテンザRE71
日本のタイヤとして始めてポルシェ純正に採用されたポテンザRE71
Sイノベーションギャラリー リトレッド
タイヤのトレッドが減ったときにトレッドのみを張り替えるリトレッドタイヤ

とはいえやはりブリヂストンですから、タイヤに目を向けなくてなりません。市販タイヤの展示だけでもさまざまなタイプのタイヤを見ることができます。

まずは「Bridgestone Innovation Gallery」の入り口(屋外)に展示されているのが世界最大級のタイヤです。サイズは59/80R63となっていますが、いったい何が何だかわかりません。説明を見ると直径は4022mmで幅は1459mm、重量は5223kgとあります。市販と言っても、タイヤショップで買えるわけではなく、ダム建設用の巨大ダンプなどに採用されるタイヤです。

ブリヂストンのスタッドレスタイヤといえばブリザックブランドですが、ブリザックになる前、ブリヂストン最初のスタッドレスタイヤとなるホロニックや、産業用のさまざまなタイヤ、航空機用タイヤなど普段見ることができないタイヤも数多く展示されます。

Sイノベーションギャラリー ホロニック
ブリヂストン最初のスタッドレスタイヤ、ホロニック
Sイノベーションギャラリー 産業用タイヤ
左からロードローラー用、食品工場用、農業用の各タイヤ

さまざまなモータースポーツ用タイヤの展示も行われていて、F1用、インディ500用、Moto GP用、ソーラーカーレース用などが展示されます。カテゴリーによって異なるタイヤの形状やサイズ、そして減り方の違いなども確認できます。

また、タイヤに使われるゴムの違いや、開発のためのシミュレーションマシン。タイヤを試作する際に使用する溝を掘る道具なども展示されていて、非常に興味深いものとなっていました。

(文/諸星陽一・写真/小林和久、諸星陽一)

【関連リンク】

●Bridgestone Innovation Gallery
住所:東京都小平市小川東町3丁目1-1
電話:042-342-6363
休館日:日曜・祝日・年末年始
開館時間;10時~16時(最終入館15時30分まで)
http://www.bridgestone.co.jp/corporate/innovation_gallery/

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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