■踏みはじめからスムーズになったパワートレーン
1.8Lの水平対向直噴ターボのCB18エンジンは、現行1.6L DITのFB16エンジンに比べ出力で7PSアップ、トルクに至っては50Nm増となる177ps/300Nmまで引き上げられ、とくに低速域から分厚いトルク感があり、走りの余裕につながっています。また、CVTはレシオカバレッジの拡大、新型オイルポンプの採用により、静粛性、燃費向上が図られていて、スムーズで、かなり静かなパワートレーンに仕上げられているのが伝わってきます。
また、現行型は発進時に電子制御スロットルの設定が過敏に感じられ、少し「飛び出し感」がありますが、新型は踏んだ分だけリニアに反応し、気を遣わずにすむのも美点。
ボディサイズは全長4755×全幅1795×全高1500mm(プロトタイプ)とアナウンスされていて、現行型よりも全長は65mm長くなり、全幅は15mmワイドになっています。また、ホイールベースは20mmストレッチされています。
ハンドリングはサイズアップを抱かせないもので、高速コーナーでのスタビリティの高さ、オフセットスラロームや定常半円での旋回性でも舵角が一発で決まる感覚。乗り比べた現行型はややロールが大きめで、アンダーステアにより切り増ししたくなるシーンもある一方で、新型はノーズの入りがスムーズで、かつリヤの追従性も高まっています。今回は、速度やコースが限定されていたものの、それでも高いポテンシャルを秘めているのが伝わってきます。
さらに、「STI Sport」の電子制御ダンパー(SUBARU初)は、「SPORT+」にすると、トルク感が高まり、さらにハンドリングが研ぎ澄まされるほか、「COMFORT」「NORMAL」「SPORT」、他に最大5人分の設定が可能な「INDIVIDUAL」も用意されるなど、シーンや好みに応じて乗り味や走りを変えることができます。電子制御ダンパーは、加速度センサーと車両情報により、減衰力特性を路面や車両 の状況に合わせてリアルタイムに最適化することが可能。
こうした鋭く、しかも安定した走りを支えるのは、ボディ剛性の強化をはじめ、2ピニオン電動パワーステアリング、マスオフセットの低減(約15%)による効果も大きく、マッドガードスリット(空気抵抗低減)、エアアウトレット(高速安定性向上)、サスロングストローク化(フロントが25%、リヤが5〜10%ロング化)による乗り心地の良さも、ハーシュネスが体感できるコースなどからも伝わってきます。
乗り心地も良さは、良好な路面のテストコースで試したのが前提ではあるものの、ハンドリング、乗り心地、静粛性など、動的質感は想像以上に高く、新型レヴォーグの走りの良さは、新世代SUBARUを謳うにふさわしい仕上がりになっています。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)