相場上昇中につき買うなら急げ! 三菱ランサーエボリューションの狙い目は顔が個性的なVIIIだ!!【中古スポーツカー・バイヤーズガイド】

●IXの人気は根強い! VやVIの相場も上昇中

GT-Garageさんは国産スポーツカー専門の販売店で、中古車の売買で著名なガリバーさんが運営しています。

店舗
取材でお邪魔したのは国産スポーツカーを専門に扱っているGT-Garage@Gulliverさん。全国規模でクルマを買い取るガリバーさんのスポーツカーセクションです。
店舗全景
広大な敷地に大量の在庫車がありますが、店舗は一見すると倉庫のような印象です。一般の方も入場できますので、気兼ねなく訪問してください。
店舗入り口
敷地を奥まで進むと工場のような建物があります。ここが事務所になっています。一般的なショールームはありません。
整備工場
工場のような建物には当然のように整備工場が併設されています。これだけの規模と設備ですから、クルマの不具合を発見するのは容易だそうです。

お話を聞いたのはGT-Garage@Gulliverの荒井陽平店長です。荒井店長は若い頃からのランエボファンで長年ランエボを愛車にしているという、今回の取材には最適な方でした。

荒井店長
お話を聞いた荒井陽平店長は若い頃からランエボに乗り、サーキットを走るほどのファンです。

荒井店長は開口一番「ランエボ人気は海外からの影響ではなく、純粋に国内市場によるものです。モデルや型式によって、相場が大きく異なることも特徴です」とお話ししてくれました。なんでも、現在中古車市場で人気なのはランエボⅤとVI、そしてIXなのだそうです。前述しましたがランエボXは従来のモデルとは別の車種というくらい激変していますから、その前の世代に当たるランエボIXが従来からのシリーズにおける完成形とも言えます。そのため中古車でもIXの人気が根強く、今でも400万円を超えるものがあるほどです。それは理解しやすいのですが、現在なぜかVやVIの相場が上昇中です。

●VやVIはWRCでの大活躍が人気の要因

ランエボVでは全幅が広がって3ナンバーボディになりました。このモデルではマニュファクチャラーズ、ドライバーズ、グループNとWRCトリプル優勝を成し遂げています。こうした偉業が人気の背景です。

またランエボVIも名手トミ・マキネンが3年連続チャンピオンとなり、トミ・マキネンエディションという限定車まで発売されています。この限定車は非常に高値で、350万円以下の売り物はありません。400万円、500万円という価格でも飛ぶように売れます。このトミ・マキネン人気に引きずられるようにランエボVI自体の相場が上がってしまったのです。「確実にVIIやVIIIよりVやVIの方が人気です。同じ条件で両世代の売り物があれば、モノによっては50万円以上の違いがあります」と荒井店長。

現在市場に出回るランエボとしては、第一世代のランエボIからランエボIIIまでは数が減り過ぎて相場がなくなってしまいました。現実的には第二世代であるランエボIVからが選択肢になります。VやVI、それにIXの相場が急上昇しており、現在の相場は250万円から300万円前後ということになります。もちろんさらに安価な売り物もありますが、それらは修復歴があったり過走行だったりと理由があります。

●おすすめはVIII。Xは5MT車に人気が集中

では相場が上がっていないIVやVII、VIIIはどうでしょう。荒井店長は「今一番おすすめしたいのがVIIIです。特徴的なフロントマスクのせいで人気がありませんが、メカニズム的にはIXに引けを取らないほど完成されています。トラブル対策もされているので、安心して乗れるはずです」と太鼓判です。

そのほか第二世代最初のランエボIVは、第一世代と同じく流通数がごく僅かです。あまり一般的な買い物とは呼べそうにありません。またベースモデルがランサーセディアになったランエボVIIは、WRCに出ていないことや大人しい外観から人気が低くなっています。こちらも狙い目で10万キロ未満のものが100万円台前半から流通しています。荒井店長によると「コミコミ200万円見てもらえば、選べる状況にあります」とのことです。

エボ第一世代と第二世代
第一世代のIからIIIは中古車市場にも少なく、第二世代のIVからVIや第三世代のVIIからIXと分けられるランエボ。今後どの世代が相場を上げてくるのか未知数です。

別モデルと言ってもいい最終モデルのランエボXはどうでしょう。「初期のSSTでは10万キロを超えてくるとトラブルが出る可能性があるようです。修理するにはミッションをアッセンブリーで交換しなければならず、50万円ほどの費用がかかります。このためSSTを敬遠する人が多いですね。5MTモデルの相場は明らかに上で、50万円以上の開きがあります」とのことです。ファイナルエディションは別格ですが、Xに関しては5MTでなければ売れないというほど人気が偏っています。「SSTであれば200万円以内で選べます。ただ5MTだと250万円からという印象です」。

エボ最終世代
最終モデルのランエボXは初期SSTモデルの人気が低く、5MTに人気が集中しています。その前のIXも高値安定中で、さらに古いVIIIの人気が低いので現在はお買い得です。

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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