唯一無二!ちっちゃいFRベース4駆のジムニーシエラは、清水和夫も納得の名車【頑固一徹 和・試乗】

1970年の誕生以来、コアなファンから愛され続けてきたスズキ・ジムニー。遊び心溢れるエクステリアデザインが与えられ、新開発のラダーフレームを採用するなど、2018年7月に登場した現行モデルは大きな話題となり、新たなユーザーを獲得しました。

今回の「頑固一徹 和」試乗では、総合性能を高めたシエラをピックアップ。国際モータージャーナリスト・清水和夫さんがあらためて試乗テストを行いました。

■ジムニーは小型SUV界の偉大なる名車!

●欲を言えば「1.0L 3気筒+ターボ」くらい欲しいかも

さぁ、別荘地の中でジムニー・シエラの試乗をしましょう!

ジムニーシエラ試乗中の清水和夫さん
ヘンにスポーティに味付けせず、ゆったりのんびり、それがジムニーの美味しいところですね。

やっぱりオフロードの狭い道は、このくらいのサイズのジムニーが良いですよね。といってもこのクルマはジムニーの中では乗用車感覚で乗れる、ちょっと大きめのシエラ。1.4LのNAエンジン、それに4輪駆動がセットされています。ちょっと道の悪いところでも安心して走れる、というのがウリです。

ジムニーシエラのエンジン
エンジンは1.3L 3気筒NA。できれば1.0Lのターボなんかもいいかな?

このくらい小さくても4駆なので、地に足がついているという安心感がありますね。また、ヘンにスポーティにしていないところが良いと思います。ゆったりおっとりしている感じがあって。サスペンションはなかなか上手くできているな、という気がします。

ただ、どうしてもNAエンジンなので、1.0L・3気筒ターボくらいでもいいのかもしれないね。ちょっとパワー出そうと思って回転を上げると、エンジン音がちょっとうるさくなります。

ジムニーシエラのコクピット
スッキリ! こういうクルマに余計なものはいりません!

トランスミッションはCVTじゃなくて、トルクコンバーター型の4速AT。なんでCVTじゃないのか?っていうと、ジムニーはエンジンが縦に置かれているFRベースなんですよね。だから、いわゆる横置きのトランスアクスルのCVTは使えない、ということです。

昔から、意外とダイハツもそうなんだけど、この手のクルマはFRベースの4駆が多いんです。だから世が世なら86/VRZみたいな小さいFRスポーツが作れなくはないんですよね。

トラクション性能などを考えると、道の悪いところを走るにはFFベースよりもFRベースのほうがいいんです。例えばインドネシアで作られているトヨタ・キジャン/イノーバっていうクルマも、フレーム構造のFRベースなんです。

ジムニーシエラのシート
飾らないのがイイのです。

ということで、これはエンジンが縦に置かれて、後ろのタイヤが主駆動輪で走る4駆システム。トランスミッションから前側にもうひとつのペラシャフトを出して、エンジンの下側にデフを持ってくる、というようなレイアウトだと思います。

いってみればGT-Rとか最近のBMWの3や5シリーズのXモデルとか、AMGのE63 4マティックとか。いわゆるFRベースの4駆も増えてきていますけど、日本はなんと! この非常にコンパクトな軽自動車(※シエラは普通自動車)の世界に、生活4駆のためにFRベースから発展したジムニーがあるというのが面白いですよね。

ジムニーシエラのフロントビュー
バネ下のブルルンという振動は押さえたいところですが、まぁオフロードをガンガン走るクルマじゃないからね。

背がちょっと高いせいかバネ下のタイヤがブルブルンって振動するところがあるので、この振動は一発でダンピングを上げて押さえたいなっていう感じはしますけどね。まぁそんなに悪路をガンガン走るというクルマでもないので、スピードを落として悪路を走れば乗り心地もそんなに悪く無いです。

こういうクルマって機能だけじゃなく、アウトドアというかミリタリーチックなイメージがあって。クルマとしての個性がハッキリしていますから、時代が経っても変わらない価値とかブランドとか、そういう個性派スモールコンパクトSUVとしては、このジムニーはロングセラーだけあって名車だな!って感じがします。それに対して中身もしっかりと作り込まれている感じがあって非常にいいと思います。

ジムニーシエラのリヤビュー
ジムニーにはジムニーにしかない良さがたくさんあります。

(試乗:清水 和夫/アシスト:永光 やすの/取材協力/スズキ自動車)

総合評価
ジムニーシエラの総合評価は星4ツです!

【頑固一徹 総合評価】
★★★★

評価ポイント
ジムニーシエラの評価ポイントは6、7、6点!

【頑固一徹 評価ポイント】(10段階評価)
パワートレイン:6点
シャシー性能:7点
インターフェース:6点
(※Vol.10より10段階に細かく評価しています!)

【SPECIFICATIONS】
車名:スズキ ジムニー シエラ JC
全長×全幅×全高:1645mm×3550mm×1730mm
ホイールベース:2250mm
トレッド前後:フロント1395mm/リヤ1405mm
車両重量:1090kg
エンジン:直列4気筒DOHC
エンジン排気量:1460cc
ボア×ストローク:74.0×84.9mm
エンジン 最高出力:75kW(102ps)/6000rpm
エンジン 最大トルク:130Nm(13.3kgm)/4000rpm
圧縮比:10.0
使用燃料&燃料タンク容量:無鉛レギュラー&40L
トランスミッション:4速AT
駆動方式:全輪駆動(パートタイムAWD)
最小回転半径:4.9m
乗車定員:4名
サスペンション :F&R  3リンクリジットアクスル式
ブレーキ:Fディスク/Rリーディングトレーリング
タイヤサイズ:フロント&リヤ 195/80R15-96S
燃料消費率 WLTCモード:13.6km/L
車両本体価格(税込):2,057,000円

清水和夫さん
国際自動車評論家・清水和夫さん試乗「頑固一徹 和」、次は何をテストしましょうか?

【清水 和夫 プロフィール】
1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業

清水和夫プロフィール
BNR32開発テスト時代なのでアウディ・クアトロ!の前に立つ35年ほど前の清水和夫さん。ちなみに明治のアーモンドチョコレートが好き!(清水和夫さん提供画像)

1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。

頑固一徹 和試乗
国際モータージャーナリスト・清水和夫さん試乗「頑固一徹 和」。

【「頑固一徹 和」試乗とは?】
国際モータージャーナリスト、清水和夫が斬る試乗インプレッション『頑固一徹テスト』。頑固一徹・清水和夫が独自の目線でチョイスした新型モデルを、パワートレイン、シャシー性能、ヒューマンマシンインターフェイス(HMI)の3分野で評価、採点し、その合計点によって10段階で評定します。

■頑固一徹 総合評価指数
3〜6点→★
7〜12 点→★★
13〜18点→★★★
19〜24点→★★★★
25〜30点→★★★★★

■頑固一徹テスト 試乗インプレッション
評価軸(3項目)&評価ポイント
パワートレイン 10段階評価(1〜10点)
シャシー性能  10段階評価(1〜10点)
ヒューマンマシンインターフェイス  10段階評価(1〜10点)

【関連リンク】

StartYourEngines HP
https://www.startyourengines.net

国際モータージャーナリスト、清水和夫が主宰する自動車専門動画ウェブメディア。クルマの限界性能と安全性を徹底的に試すダイナミック・セイフティ・テスト(DST)を始め、国内外の新車インプレッション、注目度の高まる先進安全技術、自動運転など、クルマに関するあらゆるジャンルの動画をサイトアップしています。ぜひぜひ!チャンネル登録のうえご視聴ください。

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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