スポーツ車に最適!? 圧倒的な軽さを実現する、NHKニッパツのCFRP製スプリング【東京モーターショー2019】

●未来のバネはカーボンになる? 日本発条株式会社の最新技術

NHKニッパツこと日本発条株式会社は、日本有数のサスペンション用スプリングのメーカーです。そのNHKニッパツが開発中だというのが、CFRPつまりカーボンファイバー製のスプリングです。

NHK_Spring
左から通常バネ、中空バネ、CFRPのバネです。CFRPのバネは通常バネの重さの半分以下!

現在使われているスプリングは金属製ですが、それをCFRPで作れば圧倒的に軽くできるわけです。すでに板バネではGFRP(グラスファイバーを使ったFRP)製のものは実用化できる状態になっているそうですが、それでも金属製バネの3割という圧倒的な軽さ。CFRPにすればさらに軽くできるそうです。

NHK_Spring02
巻バネでも、中空バネはすでに実用化されています。これは通常バネの78%の重量だそうです。

ただ、まだ難しい面もあって、CFRPは繊維を重ねて成形していくわけですが、ある力の向きに弱かったり、外側からの見た目が変わらなくても、中で繊維がほつれてきて、特性が落ちたりするという課題があるほか、特に巻バネでは成形そのものも難しいそうです。

実現しても価格は高くなるので、まずは高級車や高級スポーツカーにしか使われないでしょうが、軽さを生かした性能が楽しみですね。

また、NHKニッパツでは、精密プレス加工技術を生かして、薄板を積層して作るモーターのコアの製造なども得意としています。

Motor_Core01
これがモーターのコアです。導線などを巻きつけて使う部品です。
Motor_Core02
モーターのコアはこのような場所に使われています。
Motor_Core03
モーターのコアは薄ーい板を積層して作られています。そのほうが電気の抵抗が少なく、効率よくできるのだそうです。

また、金属製の基盤の製造も力を入れているそうです。現在のクルマには発熱量が多い電子回路が増えているそうで、熱伝導性の高い金属基盤はニーズが高まってきているようですね。

Substrate
LEDの基盤や充電器モジュールなど、さまざまな場所に金属基盤が使われているそうです。

またヒートシンク一体型の基盤も開発中だそうです。

Substrate02
こちらはヒートシンク一体型の基盤。より放熱性が高くなります。現在開発中です。

サスペンション用のバネは不変の重要パーツですが、クルマの進化によって、新たな性能が要求されているパーツもいろいろあるんですね。

(まめ蔵)

この記事の著者

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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