●690万円というスープラSZの価格は「高いけど高くない」?
17年ぶりの復活とか、BMWと共同開発とか、生産はトヨタもBMWでもない工場とか、歴代初の4気筒モデルがあるとか、ロゴの「S」はニュル(「スポーツカーの聖地」と言われるドイツの過酷なサーキット)のコーナーをモチーフにしているとか、クルマ好きの間ではいろんなことが話題になっている新型スープラ。いずれにせよ注目すべきは、自社開発・自社生産にこだわらることよりもこのタイミングでスポーツカーをリリースしてきたトヨタの心意気です。
アウディが「TTの次期型はない」と宣言し、メルセデス・ベンツも「SLK」を廃止する方向で動いているなどの状況を見てもわかる通り、はっきりいって昨今のスポーツカービジネスを取り巻く環境は厳しいもの。そんななか、完全自社開発ではないとはいえ、本格スポーツカーのリリースに漕ぎつけたトヨタはやはり評価すべきと思います。スポーツカーが「ない」より、たとえ他社と協業であっても「ある」ほうがいいですから。
ウインカーレバーが左側についているからダメ!なんて視野の狭いことを言っている場合ではないのです。
さらにいえば、自社単独開発にこだわらなかったのはトヨタの新しい方向性を示しているような気がします。トヨタは北米でマツダのコンパクトカーを自社ブランドで販売し、インドではスズキ車をトヨタ車として販売しています。メーカーのアイコンとなるスポーツカーでさえ、スープラをBMWと協業する前から86をスバルと共同開発するなど、「自社によるクルマ作りにはこだわらない」という考え方なのでしょう。
同社の豊田章男社長は「100年に一度の自動車産業の変化が訪れている。トヨタはサービス業になる」と言っていますが、自社開発自社生産にこだわらないのはその流れなのかもしれません。
というわけで、本題いきましょう。
新型スープラの6気筒エンジンを積むグレード「RZ」の価格は690万円。確かにこの価格は高価ですが、とはいえ驚くほど割高なのでしょうかね?
たとえば、スープラと基本メカニズムを共用するBMWのZ4。そのトップグレードでありスープラRZと同じ3.0L直列6気筒ターボエンジンを積む「Z4 M40i」の価格は、835万円。スープラより145万円も高いんです。スープラに比べると電動トップ代が上乗せされているとはいえ、スープラが割安に思えます。