ふと考えてみた。新型スープラの価格690万円は高いのか? あのクルマと比べるとどう!? 

じゃあ、トヨタの身内と比べてみたらどうでしょう?

トヨタブランドでは高出力のFRスポーツカーがありませんが、プレミアムブランドである「レクサス」には「RC」というスポーツクーペが存在。3.5Lの自然吸気V6エンジンを搭載するトップスポーツモデル「RC350 “F SPORT”」の値段は707万円。なんとスープラRZよりも高額なプライスタグなのでした。

両者ともエンジンは6気筒だし、トランスミッションは8速AT。ナビや通信ユニットだって標準装備です。アルカンタラ&レザーのシート表皮としているスープラRZに対してレクサスRC350 “F SPORT”はレザーシートを標準装備ですが、スープラにオプションでレザーシートを装着しても8万円アップの698万円なのでまだ安い。

さらにいえば、スープラRZのブレーキはBrembo製のモノブロックキャリパーで、デフもオープンデフを標準(オプション価格4万3200円でトルセンLSDを設定)とするレクサスRCに対して電子制御式のアクティブデフを備え、オーディオもJBLのプレミアムタイプが標準と装備も充実しているのも見逃せません。

高いと思われがちなスープラRZですが、実際に比較してみると意外にそうでもなさそうですね。

では、4気筒モデルはどうか?

スープラのベーシックグレードで197psの4気筒ターボエンジンを積む「SZ」は490万円ですが、245psの4気筒ターボエンジンを搭載するレクサスRC300の価格は556万円。出力では多少劣りますが、価格的にはスープラSZが有利です(66万円あれば制御プログラムを交換して出力アップしてもお釣りがくる!)。

258psの4気筒ターボエンジンを搭載するスープラ「SZ-R」は590万円で、レクサスRCにおいて2.0L 4気筒ターボエンジンを積むトップスポーツグレードの「RC300 “F SPORT”」が608万円で、僅差とはいえスープラ優勢です。

ちなみにBMW Z4と比べると、4気筒モデルの価格は566万円から665万円でもちろんスープラのほうが割安。しかも、Z4の4気筒エンジンは197psとスープラでいう「SZ」と同じベーシック版です。

というわけで、「高い」といわれることが多いスープラだけど、実際に比べてみたらそうでもなかったという話でした。性能に関しては、6気筒モデルであれば“ポルシェ・ケイマン級”。世界第一級のスポーツモデルと考えれば、さらに割安な気がします。

もちろん、じゃあ買えるのか?と尋ねられれば「YES」と即答できるわけではない(というか逆立ちしても厳しい)のですが……(涙)

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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